- 森友学園
- 大阪市内で幼稚園などを経営していた学校法人「森友学園」が、小学校用地として2016年6月に豊中市の国有地を購入した。開設予定の小学校の名誉校長に安倍晋三の妻・安倍昭恵が就任していたことから、売却価格の決定過程やそこでの首相夫妻の関与などを巡り疑惑が生じた。ほぼ同時期に報道された安倍晋三が便宜を図ったとされる加計学園問題と併せて「モリカケ問題」と俗称される。
- 秘密保護法
- 漏えいすると国の安全保障に著しい支障を与えるとされる情報を「特定秘密」に指定し、それを取り扱う人を調査・管理し、それを外部に知らせたり、外部から知ろうとしたりする人などを処罰することによって「特定秘密」を守ろうとする法律。国会では十分な審議時間が確保されず、法案の問題点に関する疑問が政府関係者の答弁でも解消されないまま、採決が強行された。
- 沖縄差別
- 沖縄・辺野古での新基地建設に向けた土砂投入の暴挙だけでなく、反対運動をすすめる人物リストを作成し、違法に個人情報を収集していることも明らかになった。沖縄には約70%の米軍専用施設が集中している。その苦しみ・怒りは、総選挙の争点からこぼれおちている。
- 男女格差
- 執拗に「性」や個人の「生き方」に介入。女性活躍政策とは女性利用政策のことで、あくまで経済政策であり、女性の人権政策ではない。安倍政権下のジェンダー・性教育バッシングを忘れまい。世界経済フォーラムが公表している日本のジェンダーギャップ指数は先進国の中で最低レベルである。
- 安倍話法
- 政治家の言葉が今ほど空疎に聞こえる時代はないだろう。その筆頭であった安倍晋三は言葉で社会を支配しようとしていた。「仕事人内閣」「国難づくり解散」云々。五輪誘致演説では「フクシマはアンダーコントロール」と世界に向けて息を吐くように嘘をついた。
- 個人番号
- 1016年に始まったマイナンバー制度は普及が遅々として進まない。答えは簡単、メリットが感じられないからだ。それに加え、多くの人がお上に個人情報を把握されたくない、と思っている。いわゆる「国民総背番号制」に対するアレルギーがまだ国民の中に残っているのだろう。懸念されるのは市民監視の精緻化で、危険な本質が露わになるのはむしろこれからだ。
- 朝貢外交
- 2016年、安倍晋三はニューヨークでトランプ次期米大統領と約1時間半、会談した。外国首脳の中で、一番乗りの「トランプ詣で」だった。トランプ大統領に対して積極的主体的に接触をはかろうとするだけでなく、国の利益を代償にして米国とうまくやろうとした。安倍晋三ほどトランプ大統領を喜ばすのに腐心した国家首脳は、他にはいなかったのではないか。
- 北方領土
- 日本とロシアの平和条約締結交渉が、ロシア側の一方的な停止表明で暗礁に乗り上げた。日本側はこれまで「4島返還」から「2島返還」に要求のハードルを下げ、経済協力をてこに交渉の進展を目指してきたが、水泡に帰すことになった。これに対しプーチン大統領との「信頼関係」を基に、平和条約締結を目指した安倍晋三は沈黙してしまった。
- アベノマスク
- 2020年の3月頃から新型コロナウイルス感染症の世界的な流行が日本でも大きな問題になると、マスク需要が急激に増大、当時の安倍晋三首相は国内全世帯への布マスクの無償配布を行うという方針を発表した。配布された小さなマスクは不評で、アベノミクスになぞらえてアベノマスクと揶揄された。安倍政権によるコロナ対策失敗事業の典型だった。
- 統一教会
- 銃撃事件により、母親が多額の献金をして家庭崩壊したことが犯行の動機と容疑者が供述、旧統一教会と政治家の関係が俄かに脚光を浴びることになった。そしてはからずも安倍晋三とその統一教会(世界平和統一家庭連合)がズブズブの関係であったことが明らかになった。英紙フィナンシャル・タイムズがこのカルト宗教団体との「近すぎる距離」に迫った。それは祖父岸信介の時代から繋がりがあり、日本の支配者層とメディアが見て見ぬふりをしてきた公然の秘密だと指摘した。安倍派「清和会」と統一教会は、岸信介の時代から現在に至るまで、綿々たる癒着構造を保って憚らない。
内閣支持率と株価を高水準で維持することに心血を注いできた安倍晋三元首相。そのお陰で長期政権は可能となり、悲願とする憲法改定に手が届くところまできた。ひょっとしたら最後の一手を打つのは、安倍晋三ではないかもしれないと思われた。だが凶弾に倒れ、その悲願を自ら達成することはできなかった。死人に口なし、彼に付き纏っていた上記「モリカケ」など、数々の疑惑も闇に葬られてしまった。つまり「生け捕り」できなくなったのである。岸田文雄は国会の場で議論もせずに、安倍晋三の国葬を9月27日に東京の日本武道館で行うことを閣議決定した。人々を苦しめている統一教会に癒着してきた政治家を国葬にして良いのだろうか。強行すればまさに民主主義の破壊行為である。
辞任表明の安倍首相7年半の政権運営を年表で振り返る | 2020年8月28日 | 朝日新聞デジタル