グラリと揺れた途端、脳裡を走ったのは原発のことだった。2011年3月11日、東日本大震災により、東京電力福島第一原子力発電所で発生した炉心溶融は、甚大な被害をもたらしたが、ご存知の通り、未だに廃炉もままならぬ状態にある。原子力規制庁は6月18日、大阪府北部を震源とする地震で、現在稼働している関西電力の大飯原発3、4号機や高浜原発3号機など福井県に立地する原発をはじめ、全国各地の原子力施設に新たな異常はなかったと発表した。しかし、この報道に接しても、不安は払拭できない。いざとなった場合、本当に自動停止するかという疑いは晴れない。北力電力は自動停止機能について次のように説明している。
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志賀原子力発電所の場合、複数の地震感知器が原子炉建屋内に設置されています。これらが震度5程度を超える揺れを感知すると、原子炉の制御装置に信号が送られ、制御棒が自動的に挿入されて、運転中の原子炉を安全に停止します。したがって、万一大きく揺れたとしても、放射性物質が外部に放出するような事故に進展する心配はありません。関西電力のウェブサイトも「感震器が大きな揺れを感知すると、原子炉の運転を止める制御装置に信号が出され、原子炉を安全に自動停止する仕組みになっています」という説明が載せている。今回の福井県高浜町の震度は4だったので、自動停止する筈はないと言われれば、確かに反論し難い。しかし大きな地震が若狭湾を襲ったら、正直言って自動停止するから安心だという気には到底なれない。地震によって燃料棒の間に反応を止めるために挿入する制御棒が入らなくなる可能性が十分考えられるからだ。そうなれば原子炉は止めることができない。過去には大きな地震でなくとも緊急停止した例が見られ、自動停止機能が計画通りに上手く作動するという保証はまったくないのである。福島第一原発の事故により、安全神話が崩れたにも関わらず、国は安全と繰り返しているが、私は信じていない。東京オリンピック誘致演説で「福島はアンダーコントロールにある」と首相が平気でウソをつく国だから。真の安全はすべての原発の稼働を止め、廃炉することで成就するだろう。
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