2015年8月8日

教科書から姿を消したフォスターの曲


スティーブン・フォスター
去る7月19日、京都市東山区のフォークソング居酒屋「明日(めいびー)」に長野たかし&森川あやこさん夫妻のライブを聴きに行ったのだが、最後にスティーブン・フォスター(1826-1864)の"Hard Times Come Again No More"の邦訳版『ハードタイムス』をリクエストした。長野さんによると今の教科書にはフォスターの曲は載ってないそうだ。フリーアナウンサーの小林大輔さんがブログに「進駐したアメリカは、日本を統治する際、『アメリカは、決して怖い国ではありませんよ。こんな優しい国ですよ。皆さん、ほら、怖がらなくても良いんですよ』と、まず、日本を懐柔する必要があったのです。このため進駐軍は、日本の文部省に介入して音楽の教科書に、アメリカはこんなに優しい国と印象づけるためフォスターの曲を入れさせたのではないか…」と書いている。小林さんは私と同世代だが、そうかな?とも思う。英語のハードタイムスはつらい時代と言う意味、だから原題を訳せば「つらい時代はもう来ない」あるいは「つらい時代はもう来るな」となる。1854年に出版された歌で、エジソン・メイル・カルテットによって1905年にエジソンの蝋管蓄音機で録音された。この歌が浸透したのは1991年にリリースされたCD「南北戦争の歌」に収録されたケイト&アンナ・マクギャリグルのテイクだったと想像される。この歌はいささか極端な例だが『草競馬』『主人は冷たい土の中に』『夢路より』『オールド・ブラック・ジョー』『おおスザンナ』『ケンタッキーの我が家』『故郷の人々』といった私たちの世代いお馴染みの曲は、今の教科書に載ってないようだ。かつて進駐軍が日本の音楽教科書に介入したかどうかは不明だが、フォスターの曲は必ずしもアメリカを賛美する愛国の歌ではなかったような気がしてならない。とはいうものの、だからといってどうして教科書から消えたのか、その答えになっていない。やはりどうしてだろうか知りたい。その前に最近の教科書にはどんな曲が載っているか調べるべきかもしれない。

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