2014年1月26日

アナログとデジタル写真処理技術の融合

撫で牛  錦天満宮(京都市中京区新京極通四条上る) Holga120 Pinhole Neopan100Acros

Photoshop (クリックで拡大表示)
銀塩アナログ写真の理想のひとつはウェットシステムを通すこと、つまりデジタル技術の援用を避け、ゼラチンシルバープリントを作ることかもしれない。モノクロ写真の場合、バライタ紙が持つ美しさは格別のものがあるからだ。しかしそれには完備された暗室が必要である。かつてそのような環境に恵まれていた私にとって、マンション住まいの今、使い勝手の良い理想の暗室を作ることは夢のまた夢である。フィルムの現像までは何とかなるが、その先のプリントがままならない。そこで最近はスキャナで取り込んで、フォトショップで画像処理をしている。災い転じて、ではないが、むしろデジタル技術を積極的に使おうと思い始めたのである。左図は上掲写真の画像処理途中のトーンカーブを示している。ハイライトとシャドー部分を落とし、中間部分の明るさを持ち上げている。
画像処理前 (クリックで拡大表示)

これはおそらくデジタル技術ゆえできる処理で、ウェットシステムでは難しいかもしれない。さらにグラデーションツールを使って、領域を定めてのトーン調節、そして部分領域もいじっている。フィルムに付いたゴミの処理も容易にできる。明室で処理できるというメリットもあるし、Undo(処理ステップを戻す)が可能で、無駄な損紙を作らないことは地球環境に優しいと言える。最終的には銀塩ペーパーに出力することになるが、残念ながら出来上がるのはゼラチンシルバープリントとは言い難い。ネガカラ―用の印画紙なので、漂白工程で銀が捨てられ、残るのは色素だけだからである。しかし写真の品位あるいは神髄に変化はない。蛇足ながら「デジタルネガティブ」という技術がある。デジタルカメラで撮った写真からネガを作り、プラチナプリントなどの古典印画にする方法であるが、私は評価しない。撮影フィルムが消えたならともかく、今あるフィルムで撮れば良いだけの話だからである。

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