2013年10月15日

クジラの解体作業は「見たければどうぞ」と房総和田浦の捕鯨会社

The Big Job  Wadaura, Chiba Prefecture on August 15, 2013

千葉県南房総市の和田浦はクジラの町。といっても夏の漁期にツチクジラ26頭の捕獲が認められているだけだけど、気がかりなのはクジラの解体作業が公開されていることだ。人間は動物を殺して食べている、そういう点では捕獲、解体を見せることは「真の教育」であると思っている。しかし欧米における家畜の屠殺、解体の映像を私は見たことがない。ところが最近、ニュージランドのマールボロ・エクスプレス紙電子版が「鯨肉1キロ22ドル」を掲載、解体作業のビデオを公開した。このような映像によって、和歌山県太地町のように外国の反捕鯨運動家の餌食になるのはと危惧、外房捕鯨株式会社に解体作業は非公開にしたらどうかと提案してみた。同社から早速メール返信があり、日本の捕鯨に関するオーストラリアやニュージーランドのプレスは酷いものが多いが、この記事は比較的冷静かつ論理的なトーンであるとのこと。私信ながら、解体作業公開についての見解部分を引用したい。
解体作業を非公開とするには、建物の構造から検討し直す必要があり、真夏の労働・台風の影響を受ける臨海の施設であることを考えますと、相当に無理があります。また、本質的に社会から避難されることをしているという自覚はありませんし、現場を全く知らぬのにエキセントリックな反応を示すのが反捕鯨の立場を採る人々には多いのが実情。「見たければどうぞ」という姿勢を示し続けることもそれなりの意味があるものと考えています。
実に立派な見識である。ツチクジラはゴンドウクジラやイシイルカなどと共にIWC(国際捕鯨委員会)の管理対象外小型鯨類で、その捕獲に関しては何ら問題はない。私は南極海での「調査捕鯨」に関しては少なからぬ疑問を持っている。生態や棲息数の調査というのがお題目になっているが、調査のために毎年850頭ものクロミンククジラや50頭のナガスクジラを捕獲する必要があるのか、といった素朴な疑問が浮かぶ。日本捕鯨協会の「捕鯨問題Q&A」を読んでみたが、どうも納得できない。オーストラリアは調査捕鯨の形態が商業捕鯨に似ており、科学性も不明確で「実態的には商業捕鯨で条約違反」と主張、国際司法裁判所(ハーグ)に差し止めを求めた裁判が7月16日に結審した。判決は来年初頭の見通しだが、おそらく日本が敗訴するような気がする。それはともかく、和田浦の沿岸捕鯨は遵守すべきである。そういう意味で、心強い返信をいただき、私の早急な危惧に恥じ入りながらもホッとしている。

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