かさねの色目(青幻舎) |
輪番制で今年は先斗町の番だった。衣裳美の極致は清少納言役の十二単だろう。袿を重ね着した重ね袿姿のことだが、英語でレイヤーと表現したほうが分かり易いかもしれない。その配色につては長崎盛輝『かさねの色目―平安の配彩美』(青幻舎)に詳しい。文庫本になっているのでお勧めである。かさねの色目の研究では、季節ごとに如何なる色目が選ばれるかが問題になるが、その色目の多くは自然の植物に関わるという。これによって当時の人々が如何に「季」というものを大切にしたかが分かるし、平安の服色には移ろいゆく大自然の表情が感じられるという。平安人の配色の妙は単に貴族の豪奢、つまり贅沢では片付けられない。その繊細な美的感覚の片鱗を時代祭の衣裳に窺うことができるのである。
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