2012年5月22日

アドビシステムのデジタルネガティブ(DNG)はなぜ普及しなかったのか


SILKYPIX市川ソフトラボラトリー)の操作画面

デジタルカメラで撮影するときは、画質モードをRAWにして撮っている。手元のカメラ、例えばニコンのD700ではTIFF形式で保存できるが、富士フイルムのX100のFINEモードは圧縮率を抑えたJPEG形式である。JPEGは画像処理をする度に圧縮されるので画質が劣化してしまう。だからRAWで撮るのだが、ひとつ問題点がある。RAW形式はメーカーあるいは機種ごとにフォーマットが違い互換性がない。それぞれに対応したソフトが必要である。私はアドビシステム社のPhotoshopのCamera Raw機能を利用したり、市川ソフトラボラトリーのSILKYPIXを使ってTIFF形式にコンバートしている。操作性が優れてるという理由のほかに、国産ソフトを応援したいという心理が働いてるかもしれない。一時アドビのLightroomを使っていたが、どうも私の感性とマッチしないので結局やめてしまった。ウェブにアップロードする場合はPhotoshopでJPEG形式に変換、サイズを圧縮している。さて表題のデジタルネガティブ(DNG)は、デジタルカメラで撮影したデータをフィルムに出力したネガという意味ではない。

メーカー間で不統一のRAW形式画像の互換性向上を目的として、アドビシステムズが提唱したもので、TIFFフォーマットをベースにしている。同社のサイトによると、発表されたのは2004年秋でなんと7年半の年月が流れているが、一向に普及しているように見えない。コンバータを無料配布したが、肝心のカメラがこの形式を採用しない限り普及は無理だったといえる。その理由として、独自のアルゴリズムを捨てたくないという思惑があるかもしれない。つまりフィルムの場合はメーカーごとに特性が違い、それが売りものであったことを思い返せば理解できる。また採用すればカメラメーカーは対応したソフトをバンドルする必要がある。SILKYPIXなども読み込めるが、やはりアドビシステムの画像処理ソフトとなってしまう。電子文書システムPDF形式が一企業の提唱であるにも関わらず普及したのは、閲覧ソフトを無償配布したことが最大の要因と考えられる。DNGが普及しない理由は案外この辺にあるのではないだろうか。

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