オルタナティヴ写真、あるいはオルタナティヴ写真処理という言葉を目にして久しいが、日本ではあまり普及していないようである。とはいえオルタナティヴ音楽という言葉は一般化しているようだ。商業音楽とは一線を引いた、いわばカウンター文化ともいえる音楽の総称のようだ。英語のalternativeは代替、代わりの、あるいは慣習に囚われないという意味と英和辞典にある。要するに「もうひとつの価値」を持ったという意味なのだろう。しかしぴったりした呼び方が見つからないらしく、英語をカタカナ表記するのが普通である。では写真の場合はどうだろう。例えばFacebookのグループ「オルタナティヴ写真処理」の紹介文には「今日使われてる歴史的な写真の方法」と紹介されている。同じような趣旨のFlickeのグループ「オルタナティヴ写真処理プリント」は、具体的な例として、卵白、カロタイプ、サイアノタイプ(青写真)、アンブロタイプ、ティンタイプ、プラチナ、ブロムオイルなどの古典印画法をあげている。またピンホールやポラロイド写真などを含めているグループもあるようだ。音楽の場合は伝統的方法を排した新しいスタイルのことを指すが、写真の場合は伝統への回帰と逆である。もうひとつの価値観としての歴史的方法の見直しととれる。それは即、コンテンポラリー・ピクトリアリズム(現代絵画主義写真)に連鎖したものだと私は思う。そして見落としてならないのは、いずれも手作業が必要なことであろう。つまり写真がデジタルに埋没してしまったことへの反逆ともとれるのである。
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