2011年9月4日

富士フイルムX-10 ソニーNEX-7 についての私的考察

昔の話になるが、ライカがM7を発表した時、ずいぶん落胆したことを憶えている。M5からTTL露出計が内蔵されたが、M6になってデザインが戻り、いよいよライカの魅力が増したと思っていた矢先、その電子化に疑義を抱いたからだ。人間というのは勝手なもので、ニコンの一眼レフF4が発売になったとき、大いに歓迎したにも関わらずだ。F3は機械式であるがゆえ今日でも人気があるが、使う立場になれば、自動機能が付加されたF4のほうが優れてると私は思ったものだ。さて今年は立て続けに富士のX-100、ソニーのNEX-5とデジタルコンパクトカメラを入手したが、そのいずれも後継機がこの秋以降に発売になるという。その仕様あるいは設計概要について私見を書いてみたい。

Fujifilm X-10 (発売日未定)

私がX-100に惹かれたのは、ライカ判換算35mm相当の単焦点レンズ、そしてシルバーの美しいボディであった。ところがこのX-10はそのいずれも裏切り、ライカ判換算28-112mm相当のズームレンズ、そして黒いボディとなっている。これまた古い話で恐縮だが、かつて富士フイルムは120用の全自動カメラGA645を出して評判になった。単焦点60mmのスーパーEBCフジノンレンズが素晴らしく、ずいぶん愛用したものだ。ところがしばらくするとステップ式のズーム55-90mmレンズを搭載したGA645Ziが発売になった。これは単焦点レンズに不満を持つユーザー向けに出したのだろうと想像したものであるが、まるで魅力を憶えなかったことが思い出される。X-10にも同じようなことを感ずる。X-100の後継機に真に相応しいのはレンズ交換式だろうけど、光学式ファインダーが複雑になるし、実現してもかなり高価になってしまうだろう。そこで非交換式ズームレンズ搭載になったと想像する。ただセンサーがAPS-Cではなく2/3型、そしてモデル名にFinePixを含まないので、X-100の後継機というより兄弟機と呼ぶべきかも知れない。

Sony NEX-7 (発売11月11日)

一番驚くのは有効約2430万画素の高精細CMOSセンサーを搭載していることである。このクラスのカメラでは最も画素数が多いのではないだろうか。そしてNEX-5からワンステップ飛躍したのは、何と言っても有機ELの電子ファインダーを備えていることだろう。NEX-5を使ってみて、やはり不満なのは背面液晶モニターによるフレーミングである。太陽光に邪魔されるということの他に、やはりホールディングが不安定であることは否めない。その点、電子ファインダーがあればカメラ保持が安定するし、フォーカスの詳細を確かめることが容易になるに違いない。約236万ドットといった高い解像力がそれを実現すると期待される。有機ELディスプレイは高コントラスト、広色域、高速応答性能であると言われている。私はいずれ一眼レフカメラは淘汰され、ミラーがないカメラが主流になる、いやすでになりつつあると思う。そのカギを握るのは電子ファインダーであり、有機ELに大いに期待している。ところでNEX-7はボディ単体で購入できるようだ。小さなことのようで、これは大きい。

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