2026年5月20日、米国司法省はキューバのラウル・カストロ元国家評議会議長(94)を殺人罪などで起訴したと発表した。1996年2月の民間航空機撃墜事件が起訴の背景と理由になっている。キューバの亡命者支援団体「ブラザーズ・トゥー・ザ・レスキュー」が運航していた民間小型機2機がキューバ軍によって撃墜され、米国人3名と永住権保持者1名が死亡した。ラウル・カストロは当時、国防相として軍を統制する立場にあった。米国当局はこの事件に関与したとして、彼および当時の戦闘機パイロットら計6名を殺人、米国人の殺害を共謀した罪、および航空機破壊の罪で起訴した。米トランプ政権は、長年キューバ共産党政権に圧力をかけ、政治的・経済的な譲歩を引き出す方針をとっている。今回の起訴もその戦略の一環と見られている。トランプ大統領は今回の起訴について「非常に重要な瞬間だ」と述べており、キューバの現状を「崩壊しつつある国家」と評するなど、体制転換を強く意識した姿勢を示している。キューバのミゲル・ディアスカネル大統領は、今回の起訴を「法的根拠のない政治的行為」であり、「軍事侵略を正当化するための材料をでっち上げたものだ」と強く批判してる。撃墜についても、当時キューバ側は「自国領空内での正当防衛であった」と主張しています。 ラウル・カストロは現在もキューバ国内にいるため、実際に米国へ連行され裁判が行われる見通しは立っていない。今回の起訴はフィデル・カストロ元議長(2016年死去)の弟であるラウル・カストロに対するものであり、過去の歴史的な事件を再考させる形で現在の米・キューバ間の緊張が高まる要因となっている。米CBSニュース(2026年5月14日付報道)によると、米国がラウル氏を訴追対象とすることで、引退後もキューバ政権内で強い影響力を維持する同氏を排除し、キューバ国内の抜本的な改革を促す狙いがあるとの見方が示されている。
現時点で「身柄の拘束」が直ちに行われるかという具体的な実行時期や方法については公表されていないが、米国がラウル・カストロに対して法的手続きによる圧力を強めている状況でである。今後、米国がどのような法的アプローチをとるか、またキューバ側がこれにどう対応するかが焦点となる。今回の起訴はトランプ大統領が進める政策の一環であり、ベネズエラのニコラス・マドゥロ政権を転覆させた手法をキューバにも適用しようとする「力による介入モデル」の再現と位置付けられている。トランプ大統領は、ベネズエラでの介入成功をモデルケースとして、中南米における米国の影響力を再構築しようとしている。トランプ政権は、ベネズエラのマドゥロを麻薬密輸容疑などで起訴し、最終的に身柄を拘束して政権を転覆させた。この「指導者を法的に追い詰めて軍事・政治的圧力をかけて政権を交代させる」という筋書きを、キューバの指導部に対してもそのまま再現しようとしている。トランプ大統領は「ここはわれわれ(米国)の半球であり、不安定化させ米国を脅かす者は報いを受ける」という趣旨の発言をしており、いわゆる「モンロー主義(米州大陸への欧州諸国の干渉を排し、米国の影響力を保持する)」に近い、極めて自国中心的な勢力圏の維持を強く主張している。キューバをベネズエラの同盟国とみなし、ハバナの現体制を屈服させることが、地域全体における社会主義的影響力を排除する鍵であると捉えている。この動きは、トランプ大統領が掲げる「アメリカ第一主義」の対外政策において、中南米を自国の「裏庭」として厳格に管理しようとする強い意志の表れである。国際法上の是非や外交的混乱を厭わず、法執行機関や軍事力を手段として用いることで、相手国の政権転覆を直接的に試みるという非常に強硬な手法が取られているのである。先リンク先は英国放送協会(BBC)の「米国は1996年の航空機2機撃墜事件に関してキューバのラウル・カストロを殺人罪で起訴した」です。
U.S. charges Cuba's Raúl Castro with murder on February 1996 downing of two planes

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