2026年5月30日

ホルムズ海峡冬景色のまま:高市政権ナフサ不足の深刻

B&W
白黒のパーッケージ(右)に移行したカルビーのポテトチップス

ホルムズ海峡封鎖による物価高騰に対処する補正予算の編成を決めたことを受けて、首相官邸で記者団を前に説明した高市早苗首相は「ナフサは足りている」と繰り返し強調した。現場で物資不足が起きていることは認めたが、それは「買いだめや売り惜しみ」などで目詰まりが生じているためだとして、政府を挙げてその解消に取り組むとも表明した。詳細なデータをグラフ化したパネルを示し、時折笑みも浮かべて、ナフサは足りていると繰り返す高市首相だったが、その自信の根拠は最後まで読み取れなかった。カルビーが、ナフサからつくる印刷材料の不足に備えてポテトチップスなどの包装をカラー印刷から白黒に変えると発表したさい、首相官邸は、露骨に不快感を表明した。ナフサ不足と言われることに神経質になっていたのだ。会見が開かれたのと同じ25日には、カルビーが予告通り「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」の包装を白黒に切り替えて売り始めた。テレビや新聞では、連日、ナフサ不足が次第に多くの業種に影響を与え始めている実情を報じ始めた。カルビーだけではない。様々な商品やパッケージのデザインに使われるナフサ由来のインクの量を減らすためにカラーをやめて白黒に変える企業が続出している。ユニットバスやトイレの塗料も不足が懸念され住宅建設にも影響が出始めた。スーパーの商品を包む容器からゴム手袋、住宅建材、電化製品、医療用のチューブ、様々な産業現場で深刻な原材料不足の訴えが伝えられている。首相が強調したように、目詰まりを解消すれば、本当に影響は回避できるのだろうか。

AI Takaichi
白黒パッケージのポテトチップスに怒る高市首相(AI生成画像)

断熱材などの住宅建材業界のある関係者は、中東危機が勃発した当初から強い危機感を語っていた。 政府は中東以外の地域からの原料調達で年をまたいでも必要量は確保できるとしているが、ホルムズ海峡の封鎖が解かれたとしても、従来通りの供給が戻るのには長い時間がかかることを覚悟しなければならない情勢だ。ナフサ不足はすでに「いま、そこにある危機」となっている。楽観的な見通しを繰り返す高市政権が、初動の対応を誤ったのはごまかしようがない。世論は、すでに危機を感じ取っている。ナフサに限らず、中東情勢で物価は高騰し始めている。生活の様々な場面で影響が出始めているのだが、具体的な対応策は示されていない。これほど支持率が高く、衆院では300議席を大きく超える圧倒的な多数を持っているのにもかかわらず、思い切った対策を打ち出さないのは、いったいなぜなのか。野党やマスコミだけでなく、与党の中からまで、そうした疑問の声が出始めている。選挙で圧勝し、国民の支持も高いことで、それでも政治を前に進めることはできている。しかし、それはあくまで高市首相に対する「期待感」が強いからに他ならない。問題は、期待感だけでは対処できない、厳しい現実に直面したときに、果たして孤独な首相がそれを乗り切れるかどうか、ということだ。自分の考えに固執し、他人の忠告や助言に耳を貸さないだけではない。本人が間違ったと思っても、それを真摯に認め、方針を転換することが極めて苦手なように思える。カルビーの白黒インクに目くじらを立て、同社の動向に神経質になったという。どうしようもない。

髙市早苗  「白黒ポテチ」に目くじらを立てる小ささ「孤独な首相」より深刻、幹部官僚が漏らした高市政権の限界

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