2014年8月4日

サーファーが時間旅行するティンタイプ写真


映画「ビッグ・ウェンズデイ」を彷彿とさせるロングボード。この写真がパソコンの画面をよぎった一瞬、古写真かと思った。説明を読んでみると紛れもなく21世紀の写真である。まるでサーファーが写真の中で時間旅行しているようだ。古い写真に見えるのは「ティンタイプ」と呼ばれる古典技法で撮られたもので、アメリカでは主に1860年代から1870年代にかけて流行した。写真撮影用のフィルムは1890年ごろに登場するが、その前は金属やガラスの板に感光材を塗布して撮影した。ティンタイプは黒く塗った薄い鉄板に撮影する方法で、ネガポジ法ではなく、いきなり画像が反転して見える。欠点は左右逆像で、しかもポラロイドのように作成されるのは一点のみである。作者のジョニ・スターンバックさんがこの手法を使い始めたのは、2006年だそうである。動画を見るとカメラはどうやら大判8x10インチのデアドルフらしい。コロジオン湿板なので、撮影直前に移動暗室の中で感光材を塗布、乳剤が乾かないうちに撮り、暗室で現像する必要がある。大きなカメラに手間がかかる処理、それを厭わない背景は何だろうか。実は日本では余り注目されてないようだが、カロタイプ、サイアノタイプ、アンブロタイプ、ティンタイプ、プラチナプリント、ブロムオイルなどの古典写真技法を使った「オルタナティヴ写真」が世界的に流行しているのである。スマートフォンなどで、余りにもお手軽、簡単に撮れてしまうデジタル写真へのアンチテーゼが、通奏低音として流れてるようだ。

YouTube  Joni Sternbach - Photographer

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