2025年12月20日

意外と悩ましい日本語長音のローマ字表記

 Japanese Long Vowels
つづり方を「ヘボン式」を基本とした改定ローマ字表記 ©産経新聞

政府は16日の閣議で、ローマ字のつづり方を「ヘボン式」を基本とした表記に改める内閣告示を22日に出すと決めた。ローマ字の表記ルールを定めた内閣告示が改められるのは約70年ぶり。文化審議会(島谷弘幸会長)が8月、「ち」を「chi」、「ふ」を「fu」と表記する「改定ローマ字のつづり方」を文部科学相に答申していた。22日の内閣告示に伴い、「ti」「hu」とつづる「訓令式」を原則としていた1954年の内閣告示は廃止される。 既に定着した表記には直ちに変更を求めず、人名なども当事者意思を尊重する。松本洋平文科相は16日の閣議後記者会見で「私の名前も、従前通り(長音記号を使わない)Yohei の表記を使わせていただくつもりだ。個人の自由は認められているので、安心してローマ字活用を進めてほしい」と呼び掛けた。パソコンやスマーフォンで Yōhei と長音記号(マクロン)を付けるのは意外と難しいからだろう。ところでりで "KOHYO" という看板を掲げたスーパーマーケットがある。私は「こひょう」と読んでいたのだが、ネット検索してウェブサイトを探したところ、経営企業の漢字表記は「光洋」、すなわち「こうよう」と読むことが分かった。つまり "OH" を「おう」「おー」と読ませたいということらしい。ジョン・F・ケネディ大統領が銃撃を受けた際、隣に座っていたジャクリーン夫人は「オー、ノー」と叫んだそうである。英語では "Oh, No!" と書く。しかしだからと言って、やはり "KOHYO" を「こうよう」「こーよう」というのはちょっと無理な感じがする。

tokyo
長音記号を付けた駅名

ところで私の姓は「大塚」だが、パスポートやクレジットカードには "OTSUKA" と印字されている。これをそのまま読めば「おつか」となり「小塚」と区別がつかない。振り仮名をふる場合は「おおつか」なので "OOTSUKA" と母音字を重ねるのが正しいという。それでは「東京」はどうだろうか。読み方は「とうきょう」だから訓令式ローマ字 "TOUKYOU" としたいところだが、英字新聞はじめ一般に"TOKYO"と表記する。これじゃ「ときょ」となってしまう。たまに "TŌKYŌ" と長音記号をつけた表記も見かけるが、ごく稀で普及していると思えない。それではなぜ "TOKYO" なのだろう。これには二つの理由が考えられる。ひとつは日本語では「オウ」と「オオ」を区別しないこと。そして英語が例えば New York(ニューヨーク)が「音を伸ばす」という概念を持たないことに要因があるようだ。何故こんなことを書くのか。私は写真共有サイト Flickr やソーシャルメディア Facebook に写真をポストする場合、地名その他を外国人に分かるようにローマ字で書いている。例えばずっと長い間京都の「四条通り」を "Shijo-dori" と書いていたが、最近は母音字の上に macron(マクロン)という横棒「¯」を付け "Shijō-dōri" と表記するようになった。ヘボン式ローマ字の長音表記なのだが、この方法が果たして適切なのかどうかちょっと自信がない。というのは外国人、特に英語圏の人々が、私が意図したように発音するか分からないからだ。

PDF  答申:改定ローマ字のつづり方(令和7年8月20日 文化審議会)の表示とダウンロード(1.19MB)

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