2025年7月30日

黒いヴェールが外部の熱から体を守るという意外

Veiled Women
Three Veiled Women of Rissani, Morocco ©1971 Irving Penn

歴史上ヴェールほど物議を醸した衣服はおそらくないでだろう。ヴェールは抑圧の象徴と見なされることもある一方で、選択の自由の象徴と捉える人もいるのである。写真はアーヴィング・ペン(1917-2009)がモロッコのサハラ砂漠を横断する最も重要な二つのルートの交差点にあり、川とオアシスから数キロのリサニで撮影した黒い布で顔と全身覆った女性たちである。顔が写らないことを承知の「肖像写真」である。日本では今夏は40℃を超えそうな所があると騒がれているが、モロッコの砂漠地帯では夏の日中は40℃を超える灼熱の暑さになる。一般的に、モロッコは比較的穏健なイスラームの国とされており、サウジアラビアなどの国で見られるような、目以外をすべて覆うようなヴェール(ニカブやブルカ)はあまり一般的ではないようだ。モロッコで最も広く着用されているのは「ヒジャブ」と呼ばれる、髪と首を覆うスカーフである。都会ではヴェールをかぶらない女性が増えているが、地方に行くほど、より多くの女性がヴェールを着用しているという。若い世代の女性はヴェールをかぶらないことも多いが、年齢を重ねるにつれてかぶるようになる傾向が見られます。 既婚女性はヴェールをかぶる人が多い傾向にある。問題はヴェールがく黒色であることである。

Rissani Morocco
Western city gate of Rissani in Morocco

主に男性の伝統衣装である「カンドゥーラ」や「トーブ」は白を基調にしているが、体のラインを最大限に隠すデザインとなっている女性の「アバヤ」は黒である。これらの服装は暑い気候に適応するための実用的な理由や、宗教的な意味合いを持つ場合がある。イスラム教徒の女性が黒いヴェールを着用する主な理由はイスラームの聖典であるクルアーン(コーラン)の教えに基づいている。クルアーンには「美しい部分を隠せ」という教えがある。黒色は他の色に比べて太陽光を吸収しやすく、熱エネルギーに変換される。そのため黒い服を着ていると、体感温度が上がり、暑く感じやすくなる。意外に思われるかもしれないが、黒いヴェールには断熱効果がある。断熱の目的は、熱の移動を妨げることだが、熱は常に温度の高い方から低い方へ移動する性質がある。体温より気温が低い場合は体から外へ熱が逃げるのを防ぎ、体温を保つ。体温より気温が高い場合は外部の熱が体へ伝わるのを防ぎ、体温の上昇を抑える。ヴェールが断熱効果を持つのは、布と肌の間に空気の層ができるためである。空気は熱を伝えにくい性質(低い熱伝導率)を持っているので、この空気層が断熱材として機能する。重ね着すると防寒効果があるが、同じ理屈で断熱効果が増す。従って体温以上の気温という過酷な環境下でも、ヴェールは外部の熱から体を守るために役立つのである。下記リンク先は考古学サイト Ancient Origins の「ヴェールの着用は歴史の中の伝統」です。古代アッシリアにおけヴェールの起源から始まり、古代ギリシャ、ローマ帝国、中世、そそてイスラームにおけるヴェールの台頭までの歴史を詳述している。

islam  Wearing of the Veil Traditions Throughout History | Unravelling the Mysteres of the Past

2025年7月28日

タンポポのお酒:少年レイ・ブラッドベリが発見した夏

タンポポのお酒
レイ・ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』晶文社(2023年)

イリノイ州の片田舎、小さな町、グリーンタウンの1928年の夏が始まった。12歳の少年ダグラスと弟のトム、おじいさんに訊く。「みんな用意はいいの? もういいの?」「五百、千、二千はあるな。よし、よし、けっこうな量だ…」 少年たちが摘んだのは金色の花、タンポポ。絞り器がぐるぐる回転し、タンポポを押しつぶす。金色の潮流、夏のエキスが流れ出し、それを甕(かめ)に入れる。酵母を掬い取り、ケチャップのふりかけ容器につめて、地下室の薄暗いところに、キラキラ光る列を作って並ばせる。タンポポのお酒である。父親に連れられて森に出かけたダグラスは、ふとしたことから、弟のトムと取っ組み合いになる。拳が口に当り、ダグラスは錆色の温かい血の味を感じ、弟に掴みかかる。押さえ込んだあと、ふたりは横になる。すると「世界は、彼よりもいっそう巨大な目に虹彩で、同じようにいま片目を開けてすべてを包みこもうと広がったように」ダグラスを見返す。そして「とびかかってきて、いまはそこにとどまり、逃げていこうとしないものの正体」を知るのだった。「ぼくは生きているいるんだ」と彼は思う。1928年の夏、少年ダグラス、いや少年ブラッドベリが発見したのは、夏の歓喜、生命の躍動とともに、それに相対する死という宿命であった。だからこそ「ぼくは生きているいるんだ」と大声で、といっても声は出さすに叫んだのである。

松岡正剛千夜千冊(求龍堂)

そして「12歳になって、たったいまだ! いまこのめずらしい時計、金色に輝く、人生70年のあいだ動くこと保証つきのこの時計を、樹の下で、取っ組み合いしている最中に見つけた」のである。レイ・ブラッドベリは1920年8月22日、イリノイ州ウォーキーガンで生まれた。晩年はロサンゼルスに在住し、著作活動を続けて2012年6月5日に91歳で他界した。少年ダグラスの夏は1928年で、ブラッドベリは8歳である。ダグラスを12歳に設定したのは、ブラッドベリが12歳からオモチャのタイプライターで物語を書き始めたからだろう。レイ・ブラッドベリを初めて手にしたのは何時ごろだったろうか。少なくとも1970年代に戻るだろう。いくつか脳裏に残っているが、何よりも印象深く、記憶から離れないのがこの自伝的長編小説『たんぽぽのお酒』である。しかし『十月はたそがれの国』もそうだが、『火星年代記』『華氏451度』など、一般には SF 作家として名高いようだ。今月12日に80歳で他界した実業家で編集者、著述家で、出版社「工作舎」を設立した松岡正剛もファンで、その著作のほとんど読破したという。書評サイト「千夜千冊」で『華氏451度』を取り上げていたが、ブラッドベリと実際に会ったときのエピソードが面白い。地下室に案内されて「ミッキーマウスをはじめとする、厖大なぬいぐるみや人形のコレクションを自慢されたときは、これがあのブラッドベリなのかと疑った」というのである。興味をそそられる逸話だけど、詳細は「千夜千冊」に譲り、私は知らなかったことにしよう。地下室といえば、やはりぬいぐるみや人形ではなく、たんぽぽのお酒を連想してしまうからだ。

bookレイ・ブラッドベリ(著)北山克彦(訳)荒井良二(絵)『たんぽぽのお酒』晶文社(2023/11/28)

2025年7月26日

ティンタイプ写真でアパラチアの伝承音楽家に焦点を当てたリサ・エルマーレ

ogslop String Band
Hogslop String Band, Harpeth River, Tennessee. ©2010 Lisa Elmaleh
Lisa Elmaleh

リサ・エルマーレは、ウェストバージニア州ハンプシャー郡を拠点とするアメリカ人のビジュアルアーティスト、教育者、ドキュメンタリー作家です。ティンタイプ、ガラスネガ、セルロイドフィルムを用いた大判写真に特化している。2007年以来、アメリカ各地を旅し、アメリカの風景、生活、文化を記録している。1984年、フロリダ州マイアミで生まれたエルマレは、限られた収入の中で母親と小さなアパートで育った。父親は風景写真を扱う写真家で、エルマレは父親が暗室で写真を現像するのを見て「写真の魔法が…私の心に焼き付いた」と回想している。ニューヨークのマンハッタンにある芸術大学スクール・オブ・ビジュアル・アーツに通い、2007年に美術学士号を取得して卒業した。卒業後、権威あるティアニー・フェローシップを受け、気候変動がエバーグレーズに与える影響を詳細に視覚的に記録するプロジェクトに取り組む。

Hannah Johnson
Hannah Johnson, Keezletown, Virginia, 2012

このプロジェクトの集大成として、2016年にザターラ出版から『エバーグレーズ(ロリダ州南部に広がる亜熱帯性の大湿地帯)』というタイトルの本が出版された。大学でコロジオン法を学んだエルマーレはティンタイプ写真を制作し始めた。彼女の愛用カメラは大判8x10の木製案箱センチュリー・ユニバーサルで、シュナイダー・クロイツナッハ300mmレンズを使用している。

Alice Gerrard
Alice Gerrard, Durham, North Carolina, 2013

湿式コロジオン法では現像液が乾板上でまだ湿っている間に画像を撮影し、現像する必要がある。2010年、アメリカ文化の歴史的記録として、ヨーロッパの移民が伝承したパラチアの音楽を継承するフォークミュージシャンに焦点を当て、ティンタイプのポートレートで記録する長期継続プロジェクトに取り組み始めた。

Moses Nelligan and Matt Kinman
Moses Nelligan and Matt Kinman, West Virginia, 2013

トヨタ・タコマのピックアップトラックを移動式暗室に改造し、被写体に会いに行くために運転している。コロジオン法には時間的な制約があるため、エルマーレは撮影後30分以内に写真を現像する。画像は1枚ずつ撮影され、現像される。エルマーレの作品は全米で展示され、アーノルド・ニューマン賞、アーロン・シスキンド財団、パッフィン財団などから評価されている。

Janice Birchfield
Janice Birchfield, Roan Mountain, Tennessee, 2013

彼女の作品は、ハーパース・マガジン、スミソニアン・マガジン、CNN テレビ、ニューヨーク・タイムズ、ナショナル・ジオグラフィック、オックスフォード・アメリカン、ガーデン&ガン、ナショナル・パブリック・ラジオなどに掲載されている。下記リンク先はナショナルジオグラフィック誌ベッキー・ハーラン編纂「リサ・エルマーレのアパラチアからの叙情的なティンタイプ」です。

NationalGographic  Lisa Elmaleh's Lyrical Tintypes From Appalachia by Becky Harlan of National Ggeographic

写真術における偉大なる達人たち

Parade of Zapatistas
Manuel Ramos (1874-1945) Parade of Zapatistas, National Palace, Mexico City, 1914

2021年の秋以来、思いつくまま世界の写真界20~21世紀の達人たちの紹介記事を拙ブログに綴ってきましたが、2025年7月26現在のリストです。右端の()内はそれぞれ写真家の生年・没年です。左端の年月日をクリックするとそれぞれの掲載ページが開きます。

21/10/06多くの人々に感動を与えたアフリカ系アメリカ人写真家ゴードン・パークスの足跡(1912–2006)
21/10/08グループ f/64 のメンバーだった写真家イモージン・カニンガムは化学を専攻した(1883–1976)
21/10/10圧倒的な才能を持ち現代アメリカの芸術写真を牽引したポール・ストランド(1890–1976)
21/10/11何気ない虚ろなアメリカを旅したスイス生まれの写真家ロバート・フランク(1924–2019)
21/10/13作為を排した新客観主義に触発されたストリート写真の達人ロベール・ドアノー(1912–1994)
21/10/16大恐慌時に農村や小さな町の生活窮状をドキュメントした写真家ラッセル・リー(1903–1986)
21/10/17日記に最後の晩餐という言葉を残して自死した写真家ダイアン・アーバスの黙示録(1923–1971)
21/10/19フォトジャーナリズムの手法を芸術の域に高めた写真家ユージン・スミスの視線(1918–1978)
21/10/24時代の風潮に左右されず独自の芸術観を持ち続けたプラハの詩人ヨゼフ・スデック(1896-1976)
21/10/27西欧美術を米国に紹介した写真家アルフレッド・スティーグリッツの功績(1864–1946)
21/11/01美しいパリを撮影していたウジェーヌ・アジェを「発見」したベレニス・アボット(1898–1991)
21/11/08近代ストレート写真を先導した 20 世紀の写真界の巨匠エドワード・ウェストン(1886–1958)
21/11/10芸術を通じて社会や政治に影響を与えることを目指した写真家アンセル・アダムス(1902–1984)
21/11/13大恐慌を記録したウォーカー・エヴァンスの被写体はその土地固有の様式だった(1903–1975)
21/11/16写真少年ジャック=アンリ・ラルティーグは個展を開いた 69 歳まで無名だった(1894–1986)
21/11/20ハンガリー出身の世界で最も偉大な戦争写真家ロバート・キャパの短い人生(1913–1954)
21/11/25児童労働の惨状を訴えるため現実を正確に捉えた写真家ルイス・ハインの偉業(1874–1940)
21/12/01マグナム・フォトを設立した写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンの決定的瞬間(1908–2004)
21/12/06犬を人間のいくつかの性質を持っているとして愛撮したエリオット・アーウィット(1928-2023)
21/12/08リチャード・アヴェドンの洗練され権威ある感覚をもたらしたポートレート写真(1923–2004)
21/12/12デザインと産業の統合に集中したバウハウスの写真家ラースロー・モホリ=ナジ(1923–1928)
21/12/17ダダイズムとシュルレアリスムに跨る写真を制作したマン・レイは革新者だった(1890–1976)
21/12/29フォトジャーナリズムに傾倒したアラ・ギュレルの失われたイスタンブル写真素描(1928–2018)
22/01/10ペルーのスタジオをヒントに自然光に拘ったアーヴィング・ペンの鮮明な写真(1917-2009)
22/02/25非現実的なほど歪曲し抽象的な遠近感を生み出した写真家ビル・ブラントのカメラ(1904–1983)
22/03/09男性ヌードや花を白黒で撮影した異端の写真家ロバート・メイプルソープへの賛歌(1946–1989)
22/03/18ニューヨーク近代美術館で写真展「人間家族」を企画したエドワード・スタイケン(1879–1973)
22/03/24公民権運動の影響を記録したキュメンタリー写真家ブルース・デヴッドソンの慧眼(born 1933)
22/04/21社会的弱者に寄り添いエモーショナルに撮影した写真家メアリー・エレン・マーク(1940-2015)
22/05/20早逝した写真家リンダ・マッカートニーはザ・ビートルズのポールの伴侶だった(1941–1998)
22/06/01大都市に変貌する香港を活写して重要な作品群を作り上げたファン・ホーの視線(1931–2016)
22/06/12肖像写真で社会の断面を浮き彫りにしたドキュメント写真家アウグスト・ザンダー(1876–1964)
22/08/01スペイン内戦取材で26歳という若さに散った女性戦争写真家ゲルダ・タローの生涯 (1910–1937)
22/09/16カラー写真を芸術として追及したジョエル・マイヤーウィッツの手腕(born 1938)
22/09/25死と衰退を意味する作品を手がけた女性写真家サリー・マンの感性(born 1951)
22/10/17北海道の風景に恋したイギリス人写真家マイケル・ケンナのモノクロ写真(born 1951)
22/11/06アメリカ先住民を「失われる前に」記録したエドワード・カーティス(1868–1952)
22/11/16大恐慌の写真 9,000 点以上を制作したマリオン・ポスト・ウォルコット(1910–1990)
22/11/18人間の精神の深さを写真に写しとったアルゼンチン出身のペドロ・ルイス・ラオタ (1934-1986)
22/12/10アメリカの生活と社会的問題を描写した写真家ゲイリー・ウィノグランド(1928–1984)
22/12/16没後に脚光を浴びたヴィヴィアン・マイヤーのストリート写真(1926–2009)
22/12/23写真家集団マグナムに参画した初めての女性報道写真家イヴ・アーノルド(1912-2012)
23/03/25写真家フランク・ラインハートのアメリカ先住民のドラマチックで美しい肖像写真(1861-1928)
23/04/13複雑なタブローを構築するシュールレアリスム写真家サンディ・スコグランド(born 1946)
23/04/21キャラクターから自らを切り離したシンディー・シャーマンの自画像(born 1954)
23/05/01震災前のサンフランシスコを記録した写真家アーノルド・ジェンス(1869–1942)
23/05/03メキシコにおけるフォトジャーナリズムの先駆者マヌエル・ラモス(1874-1945)
23/05/05文学と芸術に没頭し超現実主義絵画に着想を得た台湾を代表する写真家張照堂(1943-2024)
23/05/07家族の緊密なポートレイトで注目を集めた写真家エメット・ゴウィン(born 1941)
23/05/22欲望やジェンダーの境界を無視したクロード・カアンのセルフポートレイト(1894–1954)
23/05/2520世紀初頭のアメリカの都市改革に大きく貢献したジェイコブ・リース(1849-1914)
23/06/05都市の社会風景という視覚的言語を発展させた写真家リー・フリードランダー(born 1934)
23/06/13写真芸術の境界を広げた暗室の錬金術師ジェリー・ユルズマンの神技(1934–2022)
23/06/15強制的に収容所に入れられた日系アメリカ人を撮影したドロシア・ラング(1895–1965)
23/06/20劇的な国際的シンボルとなった「プラハの春」を撮影したヨゼフ・コウデルカ(born 1958)
23/06/24警察無線を傍受できる唯一のニューヨークの写真家だったウィージー(1899–1968)
23/07/03フォトジャーナリズムの父アルフレッド・アイゼンシュタットの視線(1898–1995)
23/07/06ハンガリーの芸術家たちとの交流が反映されたアンドレ・ケルテスの作品(1894-1985)
23/07/08家族が所有する島で野鳥の写真を撮り始めたエリオット・ポーター(1901–1990)
23/07/08戦争と苦しみを衝撃的な力でとらえた報道写真家ドン・マッカラン(born 1935)
23/07/17夜のパリに漂うムードに魅了されていたハンガリー出身の写真家ブラッサイ(1899–1984)
23/07/2020世紀の著名人を撮影した肖像写真家の巨星ユーサフ・カーシュ(1908–2002)
23/07/22メキシコの革命運動に身を捧げた写真家ティナ・モドッティのマルチな才能(1896–1942)
23/07/24ロングアイランド出身のマルクス主義者を自称する写真家ラリー・フィンク(born 1941)
23/08/01アフリカ系アメリカ人の芸術的な肖像写真を制作したコンスエロ・カナガ(1894–1978)
23/08/04ヒトラーの地下壕の写真を世界に初めて公開したウィリアム・ヴァンディバート(1912-1990)
23/08/06タイプライターとカメラを同じように扱った写真家カール・マイダンス(1907–2004)
23/08/08ファッションモデルから戦場フォトャーナリストに転じたリー・ミラーの生涯(1907-1977)
23/08/14ニコンのレンズを世界に知らしめたデイヴィッド・ダグラス・ダンカンの功績(1907-2007)
23/08/18超現実的なインスタレーションアートを創り上げたサンディ・スコグランド(born 1946)
23/08/20シカゴの街角やアメリカ史における重要な瞬間を再現した写真家アート・シェイ(1922–2018)
23/08/22大恐慌時代の FSA プロジェクト 最初の写真家アーサー・ロススタイン(1915-1986)
23/08/25カメラの焦点を自分たちの生活に向けるべきと主張したハリー・キャラハン(1912-1999)
23/09/08イギリスにおけるフォトジャーナリズムの先駆者クルト・ハットン(1893–1960)
23/10/06ロシアにおけるデザインと構成主義創設者だったアレクサンドル・ロトチェンコ(1891–1956)
23/10/18物事の本質に近づくための絶え間ない努力を続けた写真家ウィン・バロック(1902–1975)
23/10/27先見かつ斬新な作品により写真史に大きな影響を与えたウィリアム・クライン(1926–2022)
23/11/09アパートの窓から四季の移り変わりの美しさなどを撮影したルース・オーキン(1921-1985)
23/11/15死や死体の陰翳が纏わりついた写真家ジョエル=ピーター・ウィトキンの作品(born 1939)
23/12/01近代化により消滅する前のパリの建築物や街並みを記録したウジェーヌ・アジェ(1857-1927)
23/12/15同時代で最も有名で最も知られていないストリート写真家のヘレン・レヴィット(1913–2009)
23/12/20哲学者であることも写真家であることも認めなかったジャン・ボードリヤール(1929-2007)
24/01/08音楽や映画など多岐にわたる分野で能力を発揮した写真家ジャック・デラーノ(1914–1997)
24/02/25シチリア出身のイタリア人マグナム写真家フェルディナンド・スキアンナの視座(born 1943)
24/03/21パリで花開いたロシア人ファッション写真家ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン(1900–1968)
24/04/04報道写真家として自活することに成功した最初の女性の一人エスター・バブリー(1921-1998)
24/04/20長時間露光により時間の多層性を浮かび上がらせたアレクセイ・ティタレンコ(born 1962)
24/04/2820世紀後半のイタリアで最も重要な写真家ジャンニ・ベレンゴ・ガルディン(born 1930)
24/04/30トルコの古い伝統の記憶を守り続ける女性写真家 F・ディレク・ウヤル(born 1976)
24/05/01ファッション写真に大きな影響を与えたデヴィッド・ザイドナーの短い生涯(1957-1999)
24/05/08社会の鼓動を捉えたいという思いで写真家になったリチャード・サンドラー(born 1946)
24/05/10直接的で妥協がないストリート写真の巨匠レオン・レヴィンシュタイン(1910–1988)
24/05/12自らの作品を視覚的な物語と定義している写真家スティーヴ・マッカリー(born 1950)
24/05/14多様な芸術の影響を受け写真家の視点を形作ったアンドレアス・ファイニンガー(1906-1999)
24/05/16芸術的表現により繊細な目を持つ女性写真家となったマルティーヌ・フランク(1938-2012)
24/05/18ドキュメンタリー写真をモノクロからカラーに舵を切ったマーティン・パー(born 1952)
24/05/21先駆的なグラフ誌『ピクチャー・ポスト』を主導した写真家バート・ハーディ(1913-1995)
24/05/24グラフ誌『ライフ』に30年間投稿し続けたロシア生まれの写真家リナ・リーン(1914-1995)
24/05/27旅する写真家として20世紀後半の歴史に残る象徴的な作品を制作したルネ・ブリ(1933-2014)
24/05/29高速ストロボスコープ写真を開発したハロルド・ユージン・エジャートン(1903-1990)
24/06/03一般市民とそのささやかな瞬間を撮影したオランダの写真家ヘンク・ヨンケル(1912-2002)
24/06/10ラージフォーマット写真のデジタル処理で成功したアンドレアス・グルスキー(born 1955)
24/06/26レンズを通して親密な講釈と被写体の声を伝えてきた韓国出身のユンギ・キム(born 1962)
24/07/05演出されたものではなく現実的なファッション写真を開発したトニ・フリッセル(1907-1988)
24/07/07スウィンギング60年代のイメージ形成に貢献した写真家デイヴィッド・ベイリー(born 1938)
24/07/13著名人からから小さな町の人々まで撮影してきた写真家マイケル・オブライエン(born 1950)
24/07/14人々のドラマが宿る都市のカラー写真を制作したコンスタンティン・マノス(born 1934)
24/08/04写真家集団「マグナム・フォト」所属するただ一人の日本人メンバー久保田博二(born 1939)
24/08/08ロバート・F・ケネディの死を悼む人々を葬儀列車から捉えたポール・フスコ(1930–2020)
24/08/13クリスティーナ・ガルシア・ロデロが話したいのは時間も終わりもない出来事だ(born 1949)
24/08/30ドキュメンタリーと芸術の境界を歩んだカラー写真の先駆者エルンスト・ハース(1921–1986)
24/09/01国際的写真家集団マグナム・フォトの女性写真家スーザン・メイゼラスの視線(born 1948)
24/09/09アパルトヘイトの悪と日常的な社会への影響を記録したアーネスト・コール(1940–1990)
24/09/14宗教的または民俗的な儀式に写真撮影の情熱を注ぎ込んだラモン・マサッツ(1931-2024)
24/09/23アメリカで最も有名な無名の写真家と呼ばれたエヴリン・ホーファー(1922–2009)
24/09/25自身を「大義を求める反逆者」と表現した写真家マージョリー・コリンズ(1912-1985)
24/09/27北海道の小さな町にあった営業写真館を継がず写真芸術の道を歩んだ深瀬昌久(1934-2012)
24/10/01現代アメリカの風変わりで平凡なイメージに焦点を当てた写真家アレック・ソス(born 1969)
24/10/04微妙なテクスチャーの言語を備えた異次元の写真を追及したアーサー・トレス(born 1940)
24/10/06オーストリア系イギリス人のエディス・チューダー=ハートはソ連のスパイだった(1908-1973)
24/10/08映画の撮影監督でもあったドキュメンタリー写真家ヴォルフガング・スシツキー(1912–2016)
24/10/15芸術のレズビアン・サブカルチャーに深く関わった写真家ルース・ベルンハルト(1905–2006)
24/10/19ランド・アートを通じて作品を地球と共同制作するアンディ・ゴールドワージー (born 1956)
24/10/29公民権運動の活動に感銘し刑務所制度の悲惨を描写した写真家ダニー・ライアン (born 1942)
24/11/01人間の状態と現在の出来事を記録するストリート写真家ピータ―・ターンリー (born 1955)
24/11/04写真を通じて現代の社会的状況を改善することに専念したアーロン・シスキンド(1903-1991)
24/11/07自然と植物の成長にインスピレーションを受けた写真家カール・ブロスフェルト(1865-1932)
24/11/09ストリート写真で知られているリゼット・モデルは教える才能を持っていた(1901-1983)
24/11/11カラー写真が芸術として認知されるようになった功労者ウィリアム・エグルストン(born 1939)
24/11/13革命後のメキシコ復興の重要人物だった写真家ローラ・アルバレス・ブラボー(1903-1993)
24/11/15チリの歴史上最も重要な写真家であると考えられているセルヒオ・ララインの視座(1931-2012)
24/11/19イギリスのアンリ・カルティエ=ブレッソンと評されたジェーン・ボウン(1925-2014)
24/11/25カラー写真の先駆者ソール・ライターは戦後写真界の傑出した人物のひとりだった(1923–2013)
24/11/25サム・フォークがニューヨーク・タイムズに寄せた写真は鮮烈な感覚をもたらした(1901-1991)
24/11/29ゲイ解放運動の活動家だったトランスジェンダーの写真家ピーター・ヒュージャー(1934–1987)
24/12/01複数の芸術的才能に恵まれていた華麗なるファッション写真家セシル・ビートン(1904–1980)
24/12/05ライフ誌と空軍で活躍した女性初の戦場写真家マーガレット・バーク=ホワイト(1904–1971)
24/12/07愛と美を鮮明に捉えたロマン派写真家エドゥアール・ブーバの平和への眼差し(1923–1999)
24/12/10保守的な政治体制と対立しながら自由のために写真を手段にしたエヴァ・ペスニョ(1910–2003)
24/12/15自然環境における人間の姿を研究することに関心を寄せた写真家マイケル・ぺト(1908-1970)
24/12/20ベトナム戦争中にナパーム弾攻撃から逃げる子供たちを撮影したニック・ウット(born 1951)
25/01/06記録映画の先駆者であり前衛映画製作者でもあった写真家ラルフ・スタイナー(1899–1986)
25/01/10アメリカ西部を占める文化の多様性を反映した写真家ローラ・ウィルソンの足跡(born 1939)
25/01/15フランスの人文主義写真運動で活躍したスイス系フランス人ザビーネ・ヴァイス(1924–2021)
25/02/03サルバドール・ダリとの共作でシュールな写真を創出したフィリップ・ハルスマン(1906–1979)
25/02/06ベトナム戦争に対する懸念を形にした写真家フィリップ・ジョーンズ・グリフィス(1936-2008)
25/02/18芸術に複数の糸を持っていたシュルレアリスムの写真家エミール・サヴィトリー(1903-1967)
25/03/19シュルレアリスムの先駆的な写真家でピカソのモデルで恋人だったドラ・マール(1907-1997)
25/03/25ホロコースト前の東欧のユダヤ人社会を記録した写真家ローマン・ヴィスニアック(1897-1990)
25/04/01ソーシャルワーカーからライフ誌の専属写真家に転じたウォレス・カークランド(1891–1979)
25/04/04写真家ビル・エプリッジは20世紀で最も優れたフォトジャーナリストの一人だった(1938-2013)
25/04/25ロバート・キャパの弟で総合施設国際写真センターを設立したコーネル・キャパ(1918-2008)
25/05/01激動1960年代の音楽家たちをキャプチャーした写真家エリオット・ランディの慧眼(born 1942)
25/05/23生まれ故郷ブラジルの熱帯雨林アマゾン川流域へのセバスチャン・サルガドの視座(1944-2025)
25/06/22風景への畏敬の念と激動の気象現象への驚異が伝わるミッチ・ドブラウナーの写真(born 1956)
25/07/26ティンタイプ写真でアパラチアの伝承音楽家に焦点を当てたリサ・エルマーレ(born 1984)

子供の頃「明治は遠くなりにけり」という言葉を耳にした記憶がありますが、今まさに「20世紀は遠くなりにけり」の感があります。掲載した作品の大半がモノクロ写真で、カラー写真がわずかのなのは偶然ではないような気がします。20世紀のアートの世界ではモノクロ写真が主流だったからです。しかしデジタルカメラが主流になった21世紀、カラー写真の台頭に目覚ましいものがあります。ジョエル・マイヤーウィッツとサンディ・スコグランド、ジャン・ボードリヤール、 F・ディレク・ウヤル、マーティン・パー、コンスタンティン・マノス、久保田博二、ポール・フスコ、エルンスト・ハース、エヴリン・ホーファー、アレック・ソス、アンディ・ゴールドワージー、ウィリアム・エグルストン、ソール・ライタ、などのカラー作品を取り上げました。

aperture_bk  Famous Photographers: Great photographs can elicit thoughts, feelings, and emotions.

2025年7月24日

ソーシャルメディア Facebook 終わりの始まり

End of Facebook

先日、高校生になったばかりの孫が東京から遊びにきたが、スマートフォンを弄っていたので、ソーシャルメディア Facebook のアカウントを持っているのか尋ねてみた。するとんでもないという表情になり、現在使っているのは Ticktok、Instagram、LINE くらいで、テレビを見る習慣もないという。いわば Z 世代の典型なのだろう。それではということでグーグルのエブリデイ人工知能アシスタント Gemini に「なぜ若者はソーシャルメディア Facebook を使わないのか?」と訊いてみた。以下がその返答である。

若者がソーシャルメディアとしてFacebookを使わない理由は複数ありますが、主な要因は以下の通りです。
1. 他のSNSへの移行と機能の重複:
Twitter (X) やInstagramの台頭 若者は情報収集にはX(旧Twitter)の速報性や専門性、Instagramの視覚的なコンテンツ(「インスタ映え」やリール動画)を好む傾向があります。
LINEの普及: メッセージのやり取りには、日本においてLINEが圧倒的に普及しており、スタンプなどの機能の豊富さからFacebook MessengerからLINEへ移行するユーザーが増えました。
TikTokの浸透短い動画で効率的に情報を得られるTikTokは、タイムパフォーマンスを重視する若者にとって最適なプラットフォームです。
2. Facebookのイメージと利用層の高齢化:
「おじさん・おばさん世代のSNS」という認識: 若者にとってFacebookは、親や親戚、会社の上司など、上の世代が使っているイメージが強く、「高齢者のためのもの」という認識があります。そのため、若者同士のカジュアルな交流の場としては敬遠されがちです。
人間関係の煩わしさ: 実名登録が基本であることや、過去の知り合いとの繋がりが強制されるような感覚(「友達リクエスト」など)が、若者にとっては「SNS疲れ」や人間関係のしがらみを感じさせる要因になっています。特に、上司など目上の人からの申請を断りにくいといった声もあります。
3. プラットフォームの課題
タイムラインの複雑さ・広告の多さ: タイムラインがごちゃごちゃしていて見にくい、広告が多いといった意見があります。
信頼性の問題詐欺広告や誤情報、ボットの氾濫などが問題視されており、コンテンツの信頼性に対する懸念も利用離れの一因となっています。
プライバシーへの懸念: 情報漏洩などのプライバシー問題も、若者を含む幅広い世代がFacebook離れする理由として挙げられています。
4. 価値観の変化
映え」よりも「リアル」を重視: 近年、Instagramなどでも「映え」を意識した投稿よりも、日常のありのままの姿を共有する「BeReal」のようなアプリが流行するなど、若者の間でリアルでフィルターのかかっていない投稿を好む傾向が見られます。Facebookは、良く見せようとする投稿が多いというイメージがあり、それが若者の価値観と合わなくなってきている可能性もあります。
これらの要因が複合的に作用し、多くの若者がFacebookではなく、より彼らのニーズやライフスタイルに合った他のSNSを利用するようになっています。
Meta

カイル・チャイカ記者によるニューヨーカー誌の記事によると、マーク・ザッカーバーグが「ソーシャルメディアは終わった」と語ったという。ソーシャルメディア Facebook は2022年、創業以来初めて、第2四半期の収益が前年同期を下回った。そして X(旧Twitter)と Snap の両社も、期待外れの決算を発表した。作家のウィリアム・S・バロウズはかつて「成長をやめると死が始まる」と言ったという。これらの数字は単なる一時的なものなのだろうか? それとも、ソーシャルメディアにとって転換点を迎えているのだろうか? Facebook は近年他のプラットフォームの機能を模倣してきたが、この最新の変更は西側諸国の最も熱心なユーザー層を遠ざける可能性が高いと思われる。メディアの世界には、製品ライフサイクルにおける典型的な中年の危機段階があり、私はそれを「ぐらつき」と呼ぶことにしよう。これは非常に成功している企業のリーダーたちが、金の卵を産むガチョウが産む卵の数を減らし、卵の数が減っていることに気づく段階である。長年にわたる素晴らしい成長の後「ぐらつき」は困難な時期であり、しばしば恐怖に満ちている。意思決定は、刺激的で冒険的なものではなくなり、少し必死に見え、そして感じ始める。企業が停滞すると、恐怖が激しく襲ってくる。彼らのリーダーたちは、新たな成長の波を起こそうと必死だ。だから、起業家として彼らは固執するのではなく、ひねりを加えて、再びそのスイートスポットに到達する方法を見つけることに熱心である。そして、それを実現する最も簡単な方法は、同様の市場で成長を遂げている異端者を模倣することだ。TikTok は今も目覚ましい成長を続けている。そのため他のソーシャルメディア企業は、短い形式のアルゴリズム主導のビデオフィードへと方向転換を図りつつある。しかし、現金獲得に躍起になる中で、彼らが皆忘れているのは、他社との差別化こそが彼らの優位性をもたらしたということだ。どの企業も、自社の中核事業において、目立った競合相手はいない。しかし互いに利益を出し合うことで事態は悪化する。顧客体験が悪化し、結局は顧客が離れていくことになるのである。

End of Facebook  Facebook founder Mark Zuckerberg Says Social Media is Over by Kyle Chayka Newyorker

2025年7月22日

グラフ誌『LIFE』を飾った写真家二十人の作品集

Margaret Bourke-White (1904-1971) Women holding rakes, Suburb of Moscow, Soviet Union, 1941
Martha Graham
Gjon Mili (1904-1984)Choreographer Martha Graham performs her own work, 1941
Blitz
William Vandivert (1912-1989) The Tower Bridge silhouetted against burning docks, London, 1940
Albert Camus,
Loomis Dean (1917-2005) French author Albert Camus, on the set of his play Caligula, 1957
Tommy Tucker
Nina Leen (1909-1995) Tommy Tucker, a squirrel, was dried after a bath, 1944
Dr. Ernest Ceriani
W. Eugene Smith (1918-1978) Dr. Ernest Ceriani made a house call on foot, Kremmling, Colo., 1948
Ouija Board
Wallace Kirkland (1891–1979) People playing with a Ouija Board, 1944-06
aguar
John Dominis (1921–2013) Steve McQueen driving his Jaguar, California, 1963
two pythons
George Silk (1916-2004) A dancer named Aicha with two pythons at nightclub in Brussels, 1945
Indian Troops
Larry Burrows (1926-1971) Indian Troops in the Himalayas, Sino-Indian Conflict, 1962
Saint George and the Drago
Alfred Eisenstaedt (1898-1995) Watch "Saint George & Dragon" at outdoor theater in Paris, 1963
Gordon Parks (1912–2006) Flavio da Silva feeding his brother Zacarias, Rio de Janeiro, Brazil, 1961
Dalí Atomicus
Philippe Halsman (1906-1979) Dalí Atomicus in an unretouched version, New York, 1948
The Mothers of Naples Lament
Robert Capa (1913-1954) The Mothers of Naples Lament Their Sons' Death, Italy, 1943
ulukatuk
Ralph Crane (1913-1988) Nalukataq: the spring whaling festival of the Iñupiat of Northern Alaska
JFK
Carl Mydans (1907-2004) Commuters read of John F. Kennedy's assassination, New York, 1963
Giant sable antelopes
Carlo Bavagnoli (1932-2024) Sable antelopes roaming the Luanda game preserve, Angola, 1968
Volkswagen
Walter Sanders (1897–1985) Volkswagen's main plant, Wolfsburg, Germany, July 1951
Cone of Fire
David Douglas Duncan (1916-2018) Inside the , Con Thien, Vietnam, 1967
dance
Loomis Dean (1917-2005) Teenagers danced to rock music being spun, Los Angeles, 1955
The cover of the first LIFE magazine

1936年、出版者のヘンリー・ルースが総合雑誌『ライフ』のブランドを9万2,000ドルで買収した。それは「人生」を意味する「ライフ」という名前が、彼の出版社・タイム社にふさわしいと考えたからである。ルースは写真が説明する文章と同じくらいに物語を伝えることができると確信しており、写真を中心としたニュース雑誌として、『ライフ』を1936年11月23日に新創刊した。1923年の『タイム』、1930年の『フォーチュン』に続いてルースが発行した3冊目の雑誌である『ライフ』は、アメリカにおける画期的なグラフ雑誌として発展した。創刊号は10セント(2025年の物価換算で2.28ドル)で9,000部が販売され、32ページ中アルフレッド・アイゼンスタットによる写真が5ページにわたって掲載されていた。初代の編集長はクルト・コルフだった。ニュース週刊誌を企画するにあたり、ルースは1936年にタイム社内で機密の目論見書を発行したが、それには新しい『ライフ』誌のビジョンと、彼が目的としていたものが記されていた。ルースは『ライフ』誌を、写真を中心とする、アメリカの一般の人々の目に触れることが可能な最初の出版物とするつもりだった。創刊号の表紙は、マーガレット・バーク=ホワイトが撮影した、公共事業促進局の事業により作られたフォートペックダム)(ミズーリ川流域)の写真だった。雑誌『ライフ』は上述の通り1936年11月23日に週刊誌として創刊され、1972年に「特別号」の発行に移行した後、1978年から2000年まで月刊誌として復活した。2000年以降は不定期に「特別号」を発行している(以上ウィキペディアの抄訳加筆)。以下のリンク先は『ライフ』誌に掲載された非常に有名な写真のアーカイブです。

LIFE  LIFE Magazine's visual record of 20th century by exploring the most iconic photographs