2024年11月21日

日常生活のありのままの瞬間を捉えるストリート写真の歴史と進化

Zoo
Garry Winogrand (1928–1984) Central Park Zoo, New York, 1967

ストリート写真は、芸術ジャンルとして1世紀以上にわたって存在し、テクノロジー、アート、文化の変化とともに進化してきた。ストリート写真の本質は、公共の場での日常生活のありのままの瞬間を捉えることであり、視覚的なストーリーテリングやドキュメンタリー写真の重要な一部となっている。ストリート写真は、特に社会の成長と争いの時代に、地域やコミュニティの独自のアイデンティティと文化を探求する上で貴重なツールとなり得る。写真の初期の頃は、かさばって扱いにくい機材が必要だったため、ストリート写真はあまり一般的ではなかった。ポートレート撮影や実用的な官僚的な記録の方が優先され、儲かるビジネスだった。しかし1900年代初頭に携帯可能なカメラが登場したことで、写真家は街頭でのありのままの瞬間を捉えることができるようになった1920年代から30年代にかけて、アンリ・カルティエ=ブレッソンなどの先駆者たちは、手持ちカメラを使って自分たちの住む都市の日常生活を捉え、現代のストリート写真への道を切り開いた。

Prostitutes
Henri Cartier-Bresson (1908–2004) Prostitutes, Calle Cuauhtemoctzi, Mexico, 1934

1950年代から60年代にかけて、入手しやすいカメラやより高速な高感度フィルムの登場により、ストリート写真が盛んになる。ロバート・フランクやゲイリー・ウィノグランドなどの写真家は、戦後のアメリカの精神をとらえ、国の社会的、政治的な状況の変化を記録した。1970年代には、ストリート写真はより内省的になり、ダイアン・アーバスやリー・フリードランダーなどの写真家が作品の中でアイデンティティと疎外感というテーマを探求した。写真術の黎明期以来、社会的・政治的な変化がアーティストに影響を与え、その歴史の中で重要な運動が生まれた。ストリート写真における最も重要な運動をいくつか挙げてみよう。

Migrant workers on a California road
Dorothea Lange (1895–1965) Migrant workers on a California road, 1935
  • ピクトリアリズム: この運動は1800年代後半から1900年代前半に始まり、ソフトフォーカスと絵画的な美学を特徴としていた。ピクトリアリズムの写真家は、街の風景やありのままの瞬間を捉え、都市環境や日常生活の写真を頻繁に撮影しました。
  • ニュービジョン: この運動は1920年代に始まり、線、形、パターンなどの写真の形式的な要素に重点が置かれていた。ニュービジョンの写真家は、角度や視点を実験的に使用して、抽象的でシュールな画像を作成することが多かった。
  • ヒューマニズム: この運動は1930年代に始まり、人間の感情や経験に焦点を当てていることが特徴である。ヒューマニズムの写真家は、公共の場での人々のありのままの瞬間を捉え、日常生活の苦悩や喜びを強調することがあった。
  • ドキュメンタリー: この運動は 1930 年代に始まり、社会問題や政治的出来事に焦点を当てていることが特徴である。ドキュメンタリー写真家は、貧困、戦争、社会的不正義などの画像を撮影し、写真を活動や社会変革の手段として使用した。
  • モダニズム: この運動は1950年代に始まり、光、影、質感など、写真の美的品質に重点が置かれていた。モダニズムの写真家は、都市環境の抽象的でミニマリスト的なイメージを撮影することが多かった。
  • ポストモダニズム: この運動は1980年代に始まり、写真の伝統的な慣習を拒絶する特徴があった。ポストモダニズムの写真家は、皮肉とユーモアを使って社会を批判し、写真の真実性という概念に挑戦することが多かった。

これらのムーブメントは相互に排他的ではなく、多くのストリート写真家はキャリアを通じて複数のムーブメントの影響を受けている。ただし、各ムーブメントはストリート写真の芸術に対する独自のアプローチを表しており、このジャンルに大きな影響を与えている。過去1世紀にわたって、このジャンルに多大な貢献をした著名なストリート写真家が数多く存在した。この100年間の主要なストリート写真家5名は次の通りである。

Chicago
Vivian Maier (1926-2009) Chicago, Illinois, Undated
  • アンリ・カルティエ=ブレッソン: 多くの人から現代のストリート写真の父とみなされているアンリ・カルティエ=ブレッソンは、20世紀にこのジャンルの定義に貢献したフランスの写真家。彼はライカで日常生活のつかの間の瞬間を捉えた達人で「決定的瞬間」という言葉を残した。
  • ドロシア・ラング: ラングは、大恐慌時代の力強い写真で最もよく知られているアメリカの写真家。移民労働者や貧困に苦しむ家族を撮影した彼女の写真は、当時の苦難をとらえ、経済危機に苦しむ人々の窮状に注目を集めた。
  • ヴィヴィアン・マイヤー: マイヤーは、生涯のほとんどをシカゴでベビーシッターとして働いていたアメリカ人写真家。彼女はまた、街中の人々や場所の写真を撮影する熱心なストリート写真家でもあった。彼女の作品は、彼女の死後、オークションでネガの箱が発見されるまで、ほとんど知られていなかった。
  • ゲイリー・ウィノグランド: ウィノグランドは、1960 年代と 70年代のエネルギーと混沌を捉えたアメリカの写真家です。彼のストリート写真には、移動中の人々の自然な姿を捉えたものが多く、日常生活のユーモアと不条理を捉える才能で知られていた。
  • リー・フリードランダー: リー・フリードランダーは、ストリート写真に対する革新的なアプローチで知られるアメリカの写真家です。彼は、反射、影、その他の都市環境の要素を利用して、写真の真実性に関する従来の概念に挑戦する複雑で階層化されたイメージを生み出した。彼の作品は、20世紀と21世紀のストリート写真の進化に大きな影響を与えた。

Baltimore
Lee Friedlander (born 1934) Baltimore, Maryland, 1968

これらのストリート写真家は路上での人々の日常生活をありのままに撮影してきた。結局のところ、ストリート写真は、写真全般と同様に、祝福から非難まで、人間の反応のあらゆる範囲を網羅している。それがストリート写真を世界共通の言語にしているのです。デジタル時代において、ストリート写真は新たな進化を遂げ、写真家はスマートフォンやソーシャルメディアを使用して作品を共有し、世界中の視聴者とつながるようになった。今では Instagram、Pinterest、Flickr などのソーシャルメディア・プラットフォームの普及により、ストリート写真はかつてないほど民主的でアクセスしやすく、包括的な実践となっている。下記リンク先の書籍は『バイスタンダー:ストリート写真の歴史』はコリン・ウェスターベックおよびジョエル・マイヤーウィッツによる共著で、1994年に初めて出版された。ストリート写真のサーベイで、エッセイとテキストに図解写真が添えられている。2001年に改訂・増補され、2017年に再び改訂された。

Amazon  Bystander: A History of Street Photography by Colin Westerbeck and Joel Meyerowitz

2024年11月19日

スノードン卿にイギリスのアンリ・カルティエ=ブレッソンと評されたジェーン・ボウン

Mick Jagger
Mick Jagger, October 5, 1977
Jane Bown

ジェーン・ボウンは、 オブザーバー紙で働いていたイギリスの写真家だった。自らを「私は生涯、時間と光について悩み続けた」と語ったが、同紙の編集者ジョン・マルホランドは、彼女を「オブザーバー紙の DNA の一部」と呼んだ。1925年3月13日、ヘレフォードシャーのイーストナーで生まれた。イングランドのドーセットで、叔母だと信じていた女性たちに育てられた彼女は、子ども時代は幸せだったと述べている。12歳の時に、その中のひとりが自分の母親であり、自分の出生が私生児であると知って動揺したと述べている。この発見がきっかけで、彼女は思春期に非行に走り、母親に対して冷たく接するようになった。父親は60歳を超えたチャールズ・ウェントワース・ベルで、彼女の母親は看護師として雇われていた。彼女は最初 WRNS(イギリス海軍婦人部隊)で海図修正者として働き、ノルマンディー上陸作戦の計画にも関わり、この仕事で教育助成金を受ける資格を得た。その後、ギルフォード美術学校のイフォー・トーマスのもとで写真学を学んだ。ボウンは1951年まで結婚式のポートレート写真家としてキャリアをスタートし、トーマスの紹介でオブザーバー紙の写真編集者メヒティルド・ナヴィアスキーと知り合った。ナヴィアスキーは彼女のポートフォリオを編集者のデイビッド・アスターに見せ、アスターは感銘を受け、すぐに哲学者バートランド・ラッセルの写真を撮るよう彼女に依頼した。

Voters from a cotton mill
Voters from a cotton mill, Rochdale, England, 1958

ボウンは主に白黒で作品を制作し、自然光を利用することを好んだ。1960年代はじめまでは、主に二眼レフのローライフレックスを使用していたが、その後、35mmのペンタックスの一眼レフを使用した。そして最終的にはオリンパスOM-1カメラに落ち着き、85mmレンズを使用することが多くなった。彼女は特に、富裕層、有名人、悪名高い人、無名の人のポートレートで有名だった。その多くは彼女の被写体のトレードマークとなった画像で、その中には、逃げようとしたロイヤルコート劇場の横の路地で追い詰められ、檻に入れられた鷲のように睨みつける劇作家サミュエル・ベケットの決定的なポートレートも含まれている。

Samuel Beckett
Samuel Beckett, Royal Court Theatre, London, 1976

オーソン・ウェルズ、サー・ジョン・ベッチェマン、ウディ・アレン、シラ・ブラック、クエンティン・クリスプ、PJ ハーヴェイ、ジョン・レノン、トルーマン・カポーティ、ジョン・ピール、ギャングのチャーリー・リチャードソン、サー・ジェラルド・テンプラー陸軍元帥、ジャービス・コッカー、ビョーク、ジェーン・マンスフィールド、ダイアナ・ドース、アンリ・カルティエ=ブレッソン、イヴ・アーノルド、イヴリン・ウォー、ブラッサイ、マーガレット・サッチャーなど、何百人もの被写体を撮影した。彼女は2006年、イギリスの女王エリザベス2世の80歳の誕生日のポートレートを撮影した。ボウンの広範囲にわたるフォトジャーナリズム作品にはホップ摘み取り人、グリーンハム・コモン女性平和キャンプの立ち退き、バトリンズの休暇リゾート、ブリティッシュ・シーサイド、そして2002年のグラストンベリー・フェスティバルに関するシリーズがある。

Cecil Beaton
Cecil Beaton, Wiltshire, England, 1974

彼女の社会ドキュメンタリーとフォトジャーナリズムは "Unknown Bown"(知らぜらるボウン/2007年) が出版されるまで、ほとんど知られていなかった。2007年、彼女のグリーンハム・コモンの作品は、テート・ブリテン国立美術館で開催された初の大規模な写真展 "How We Are: Photographing Britain"(私たちはどうあるべきか:イギリスを撮る)の一部として、ヴァル・ウィリアムズとスーザン・ブライトによって選出された。ルーク・ドッドとマイケル・ホワイトが監督したボウンのドキュメンタリー "Looking For Light"(光を求めて/2014年)では、が自身の人生について語り、エドナ・オブライエン、リン・バーバー、リチャード・アシュクロフトなど、一緒に撮影したり仕事をした人たちへのインタビューが収録されている。

Queen Elizabeth II
Queen Elizabeth II, photographed for her 80th birthday, 2006

2014年6月、ボウンは南イングランドのクリエイティブ・アーツ大学から名誉学位を授与された。1954年、ボウンはファッション小売業の重役マーティン・モスと結婚、マシュー、ルイザ、ヒューゴの3人の子供をもうけた。モスは2007年に彼女より先に亡くなった。2014年12月21日、ボウンはハンプシャーの自宅で亡くなった。89歳だった。初代スノードン伯爵は彼女の作品に敬意を表わし「最高の写真を生み出した、いわばイギリスのカルティエ=ブレッソン」「彼女はトリックや仕掛けに頼らず、シンプルで正直な記録だけを、鋭敏で知的な目で撮影した」と評した。下記リンク先はガーデアンの記事「オブザーバー紙で60年にわたるキャリアを持つ世界的に有名な写真家ジェーン・ボウン」(英文)である。

The Guardian  Jane Bown (1925-2014) World-renowned photographer whose career on the Observer

写真術における偉大なる達人たち

Damm family
Mary Ellen Mark (1940-2015) Homeless Damm family in their car, Los Angeles, California, 1987

2021年の夏以来、思いつくまま世界の写真界20~21世紀の達人たちの紹介記事を拙ブログに綴ってきましたが、2024年11月19日現在のリストです。右端の()内はそれぞれ写真家の生年・没年です。左端の年月日をクリックするとそれぞれの掲載ページが開きます。

21/08/12エイズで他界した写真家ピーター・ヒュージャーの眼差し(1934–1987)
21/08/23ロマン派写真家エドゥアール・ブーバの平和への眼差し(1923–1999)
21/09/18女性初の戦場写真家マーガレット・バーク=ホワイト(1904–1971)
21/09/21自由のために写真を手段にしたエヴァ・ペスニョ(1910–2003)
21/10/04熱帯雨林アマゾン川流域へのセバスチャン・サルガドの視座(born 1944)
21/10/06アフリカ系アメリカ人写真家ゴードン・パークスの足跡(1912–2006)
21/10/08写真家イモージン・カニンガムは化学者だった(1883–1976)
21/10/10現代アメリカの芸術写真を牽引したポール・ストランド(1890–1976)
21/10/11虚ろなアメリカを旅した写真家ロバート・フランク(1924–2019)
21/10/13キャンディッド写真の達人ロベール・ドアノー(1912–1994)
21/10/16大恐慌時代をドキュメントした写真家ラッセル・リー(1903–1986)
21/10/17自死した写真家ダイアン・アーバスの黙示録(1923–1971)
21/10/19報道写真を芸術の域に高めたユージン・スミス(1918–1978)
21/10/24プラハの詩人ヨゼフ・スデックの光と影(1896-1976)
21/10/27西欧美術を米国に紹介した写真家アルフレッド・スティーグリッツの功績(1864–1946)
21/11/01ウジェーヌ・アジェを「発見」したベレニス・アボット(1898–1991)
21/11/08近代ストレート写真を先導したエドワード・ウェストン(1886–1958)
21/11/10社会に影響を与えることを目指した写真家アンセル・アダムス(1902–1984)
21/11/13ウォーカー・エヴァンスの被写体はその土地固有の様式だった(1903–1975)
21/11/16写真少年ジャック=アンリ・ラルティーグ異聞(1894–1986)
21/11/20世界で最も偉大な戦争写真家ロバート・キャパの軌跡(1913–1954)
21/11/25児童労働の惨状を訴えた写真家ルイス・ハインの偉業(1874–1940)
21/12/01写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンの決定的瞬間(1908–2004)
21/12/06犬を愛撮したエリオット・アーウィット(1928-2023)
21/12/08リチャード・アヴェドンの洗練されたポートレート写真(1923–2004)
21/12/12バウハウスの写真家ラースロー・モホリ=ナジの世界(1923–1928)
21/12/17前衛芸術の一翼を担ったマン・レイは写真の革新者だった(1890–1976)
21/12/29アラ・ギュレルの失われたイスタンブルの写真素描(1928–2018)
22/01/10自然光に拘ったアーヴィング・ペンの鮮明な写真(1917-2009)
22/02/01華麗なるファッション写真家セシル・ビートン(1904–1980)
22/02/25抽象的な遠近感を生み出した写真家ビル・ブラント(1904–1983)
22/03/09異端の写真家ロバート・メイプルソープへの賛歌(1946–1989)
22/03/18写真展「人間家族」を企画開催したエドワード・スタイケン(1879–1973)
22/03/24キュメンタリー写真家ブルース・デヴッドソンの慧眼(born 1933)
22/04/21社会的弱者に寄り添った写真家メアリー・エレン・マーク(1940-2015)
22/05/20写真家リンダ・マッカートニーはビートルズのポールの伴侶だった(1941–1998)
22/06/01大都市に変貌する香港を活写したファン・ホーの視線(1931–2016)
22/06/12肖像写真で社会の断面を浮き彫りにしたアウグスト・ザンダー(1876–1964)
22/08/01スペイン内戦に散った女性場争写真家ゲルダ・タローの生涯(1910–1937)
22/09/16カラー写真を芸術として追及したジョエル・マイヤーウィッツの手腕(born 1938)
22/09/25死と衰退を意味する作品を手がけた女性写真家サリー・マンの感性(born 1951)
22/10/17北海道の風景に恋したイギリス人写真家マイケル・ケンナのモノクロ写真(born 1951)
22/11/06アメリカ先住民を「失われる前に」記録したエドワード・カーティス(1868–1952)
22/11/16大恐慌の写真 9,000 点以上を制作したマリオン・ポスト・ウォルコット(1910–1990)
22/11/18人間の精神の深さを写真に写しとったペドロ・ルイス・ラオタ(1934-1986)
22/12/10アメリカの生活と社会的問題を描写した写真家ゲイリー・ウィノグランド(1928–1984)
22/12/16没後に脚光を浴びたヴィヴィアン・マイヤーのストリート写真(1926–2009)
22/12/23写真家集団マグナムに参画した初めての女性イヴ・アーノルド(1912-2012)
23/03/25フランク・ラインハートのアメリカ先住民の肖像写真(1861-1928)
23/04/13複雑なタブローを構築するシュールレアリスム写真家サンディ・スコグランド(born 1946)
23/04/21キャラクターから自らを切り離したシンディー・シャーマンの自画像(born 1954)
23/05/01震災前のサンフランシスコを記録した写真家アーノルド・ジェンス(1869–1942)
23/05/03メキシコにおけるフォトジャーナリズムの先駆者マヌエル・ラモス(1874-1945)
23/05/05超現実主義絵画に着想を得た台湾を代表する写真家張照堂(1943-2024)
23/05/07家族の緊密なポートレイトで注目を集めた写真家エメット・ゴウィン(born 1941)
23/05/22欲望やジェンダーの境界を無視したクロード・カアンの感性(1894–1954)
23/05/2520世紀初頭のアメリカの都市改革に大きく貢献したジェイコブ・リース(1849-1914)
23/06/05都市の社会風景という視覚的言語を発展させた写真家リー・フリードランダー(born 1934)
23/06/13写真芸術の境界を広げた暗室の錬金術師ジェリー・ユルズマンの神技(1934–2022)
23/06/15強制的に収容所に入れられた日系アメリカ人を撮影したドロシア・ラング(1895–1965)
23/06/18女性として初の戦場写真家マーガレット・バーク=ホワイト(1904–1971)
23/06/20劇的な国際的シンボルとなった「プラハの春」を撮影したヨゼフ・コウデルカ(born 1958)
23/06/24警察無線を傍受できる唯一のニューヨークの写真家だったウィージー(1899–1968)
23/07/03フォトジャーナリズムの父アルフレッド・アイゼンシュタットの視線(1898–1995)
23/07/06ハンガリーの芸術家たちとの交流が反映されたアンドレ・ケルテスの作品(1894-1985)
23/07/08家族が所有する島で野鳥の写真を撮り始めたエリオット・ポーター(1901–1990)
23/07/08戦争と苦しみを衝撃的な力でとらえた報道写真家ドン・マッカラン(born 1935)
23/07/17夜のパリに漂うムードに魅了されていたハンガリー出身の写真家ブラッサイ(1899–1984)
23/07/2020世紀の著名人を撮影した肖像写真家の巨星ユーサフ・カーシュ(1908–2002)
23/07/22メキシコの革命運動に身を捧げた写真家ティナ・モドッティのマルチな才能(1896–1942)
23/07/24ロングアイランド出身のマルクス主義者を自称する写真家ラリー・フィンク(born 1941)
23/08/01アフリカ系アメリカ人の芸術的な肖像写真を制作したコンスエロ・カナガ(1894–1978)
23/08/04ヒトラーの地下壕の写真を世界に初めて公開したウィリアム・ヴァンディバート(1912-1990)
23/08/06タイプライターとカメラを同じように扱った写真家カール・マイダンス(1907–2004)
23/08/08ファッションモデルから戦場フォトャーナリストに転じたリー・ミラーの生涯(1907-1977)
23/08/14ニコンのレンズを世界に知らしめたデイヴィッド・ダグラス・ダンカンの功績(1907-2007)
23/08/18超現実的なインスタレーションアートを創り上げたサンディ・スコグランド(born 1946)
23/08/20シカゴの街角やアメリカ史における重要な瞬間を再現した写真家アート・シェイ(1922–2018)
23/08/22大恐慌時代の FSA プロジェクト 最初の写真家アーサー・ロススタイン(1915-1986)
23/08/25カメラの焦点を自分たちの生活に向けるべきと主張したハリー・キャラハン(1912-1999)
23/09/08イギリスにおけるフォトジャーナリズムの先駆者クルト・ハットン(1893–1960)
23/10/06ロシアにおけるデザインと構成主義創設者だったアレクサンドル・ロトチェンコ(1891–1956)
23/10/18物事の本質に近づくための絶え間ない努力を続けた写真家ウィン・バロック(1902–1975)
23/10/27先見かつ斬新な作品により写真史に大きな影響を与えたウィリアム・クライン(1926–2022)
23/11/09アパートの窓から四季の移り変わりの美しさなどを撮影したルース・オーキン(1921-1985)
23/11/15死や死体の陰翳が纏わりついた写真家ジョエル=ピーター・ウィトキンの作品(born 1939)
23/12/01近代化により消滅する前のパリの建築物や街並みを記録したウジェーヌ・アジェ(1857-1927)
23/12/15同時代で最も有名で最も知られていないストリート写真家のヘレン・レヴィット(1913–2009)
23/12/20哲学者であることも写真家であることも認めなかったジャン・ボードリヤール(1929-2007)
24/01/08音楽や映画など多岐にわたる分野で能力を発揮した写真家ジャック・デラーノ(1914–1997)
24/02/25シチリア出身のイタリア人マグナム写真家フェルディナンド・スキアンナの視座(born 1943)
24/03/21パリで花開いたロシア人ファッション写真家ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン(1900–1968)
24/04/04報道写真家として自活することに成功した最初の女性の一人エスター・バブリー(1921-1998)
24/04/20長時間露光により時間の多層性を浮かび上がらせたアレクセイ・ティタレンコ(born 1962)
24/04/2820世紀後半のイタリアで最も重要な写真家ジャンニ・ベレンゴ・ガルディン(born 1930)
24/04/30トルコの古い伝統の記憶を守り続ける女性写真家 F・ディレク・ウヤル(born 1976)
24/05/01ファッション写真に大きな影響を与えたデヴィッド・ザイドナーの短い生涯(1957-1999)
24/05/08社会の鼓動を捉えたいという思いで写真家になったリチャード・サンドラー(born 1946)
24/05/10直接的で妥協がないストリート写真の巨匠レオン・レヴィンシュタイン(1910–1988)
24/05/12自らの作品を視覚的な物語と定義している写真家スティーヴ・マッカリー(born 1950)
24/05/14多様な芸術の影響を受け写真家の視点を形作ったアンドレアス・ファイニンガー(1906-1999)
24/05/16芸術的表現により繊細な目を持つ女性写真家となったマルティーヌ・フランク(1938-2012)
24/05/18ドキュメンタリー写真をモノクロからカラーに舵を切ったマーティン・パー(born 1952)
24/05/21先駆的なグラフ誌『ピクチャー・ポスト』を主導した写真家バート・ハーディ(1913-1995)
24/05/24グラフ誌『ライフ』に30年間投稿し続けたロシア生まれの写真家リナ・リーン(1914-1995)
24/05/27旅する写真家として20世紀後半の歴史に残る象徴的な作品を制作したルネ・ブリ(1933-2014)
24/05/29高速ストロボスコープ写真を開発したハロルド・ユージン・エジャートン(1903-1990)
24/06/03一般市民とそのささやかな瞬間を撮影したオランダの写真家ヘンク・ヨンカー(1912-2002)
24/06/10ラージフォーマット写真のデジタル処理で成功したアンドレアス・グルスキー(born 1955)
24/06/26レンズを通して親密な講釈と被写体の声を伝えてきた韓国出身のユンギ・キム(born 1962)
24/07/05演出されたものではなく現実的なファッション写真を開発したトニ・フリッセル(1907-1988)
24/07/07スウィンギング60年代のイメージ形成に貢献した写真家デイヴィッド・ベイリー(born 1938)
24/07/13著名人からから小さな町の人々まで撮影してきた写真家マイケル・オブライエン(born 1950)
24/07/14人々のドラマが宿る都市のカラー写真を制作したコンスタンティン・マノス(born 1934)
24/08/04写真家集団「マグナム・フォト」所属するただ一人の日本人メンバー久保田博二(born 1939)
24/08/08ロバート・F・ケネディの死を悼む人々を葬儀列車から捉えたポール・フスコ(1930–2020)
24/08/13クリスティーナ・ガルシア・ロデロが話したいのは時間も終わりもない出来事だ(born 1949)
24/08/30ドキュメンタリーと芸術の境界を歩んだカラー写真の先駆者エルンスト・ハース(1921–1986)
24/09/01国際的写真家集団マグナム・フォトの女性写真家スーザン・メイゼラスの視線(born 1948)
24/09/09アパルトヘイトの悪と日常的な社会への影響を記録したアーネスト・コール(1940–1990)
24/09/14宗教的または民俗的な儀式に写真撮影の情熱を注ぎ込んだラモン・マサッツ(1931-2024)
24/09/23アメリカで最も有名な無名の写真家と呼ばれたエヴリン・ホーファー(1922–2009)
24/09/25自身を「大義を求める反逆者」と表現した写真家マージョリー・コリンズ(1912-1985)
24/09/27営業写真館を継がず写真芸術の道を歩んだ深瀬昌久(1934-2012)
24/10/01現代アメリカの風変わりで平凡なイメージに焦点を当てた写真家アレック・ソス(born 1969)
24/10/04微妙なテクスチャーの言語を備えた異次元の写真を追及したアーサー・トレス(born 1940)
24/10/06オーストリア系イギリス人のエディス・チューダー=ハートはソ連のスパイだった(1908-1973)
24/10/08映画の撮影監督でもあったドキュメンタリー写真家ヴォルフガング・スシツキー(1912–2016)
24/10/15芸術のレズビアン・サブカルチャーに深く関わった写真家ルース・ベルンハルト(1905–2006)
24/10/19ランド・アートを通じて作品を地球と共同制作するアンディ・ゴールドワージー (born 1956)
24/10/29公民権運動の活動に感銘し刑務所制度の悲惨を描写した写真家ダニー・ライアン (born 1942)
24/11/01人間の状態と現在の出来事を記録するストリート写真家ピータ―・ターンリー (born 1955)
24/11/04写真を通じて現代の社会的状況を改善することに専念したアーロン・シスキンド(1903-1991)
24/11/07自然と植物の成長にインスピレーションを受けた写真家カール・ブロスフェルト(1865-1932)
24/11/09ストリート写真で知られているリゼット・モデルは教える才能を持っていた(1901-1983)
24/11/11カラー写真が芸術として認知されるようになった功労者ウィリアム・エグルストン(born 1939)
24/11/13革命後のメキシコ復興の重要人物だった写真家ローラ・アルバレス・ブラボー(1903-1993)
24/11/15チリの歴史上最も重要な写真家であると考えられているセルヒオ・ララインの視座(1931-2012)
24/11/19イギリスのアンリ・カルティエ=ブレッソンと評されたジェーン・ボウン(1925-2014)

子供のころ「明治は遠くなりにけり」という言葉を耳にした記憶がありますが、今まさに「20世紀は遠くなりにけり」の感があります。掲載した作品の大半がモノクロ写真で、カラー写真がわずかのなのは偶然ではないような気がします。20世紀のアートの世界ではモノクロ写真が主流だったからです。しかしデジタルカメラが主流になった21世紀、カラー写真の台頭に目覚ましいものがあります。ジョエル・マイヤーウィッツとシンディー・シャーマン、サンディ・スコグランド、ジャン・ボードリヤール、 F・ディレク・ウヤル、マーティン・パー、コンスタンティン・マノス、久保田博二、ポール・フスコ、エルンスト・ハース、エヴリン・ホーファー、アレック・ソス、アンディ・ゴールドワージー、ウィリアム・エグルストンなどのカラー作品を取り上げました。

camera   Famous Photographers: Great photographs can elicit thoughts, feelings, and emotions.

2024年11月18日

ソーシャルメディア Bluesky のアカウントを取得して X から離脱した

Bluesky
Social Media Bluesky

前エントリー「英国ガーディアン紙が X 公式アカウントによる X への投稿を停止」で英国のガーディアン紙が、イーロン・マスクのソーシャル・メディア X に同紙の公式アカウントからコンテンツを投稿しないことを発表したと書いた。同紙は「X は有害なメディア・プラットフォームであり、そのオーナーであるイーロン・マスクが政治的言説を形成するためにその影響力を行使することができる」としたが、私自身は今後の推移を見守るため、アカウントを保持しようしようと思っているとも。しかし意に沿わないソーシャルメディアに席を持ち続けるのが空しくなし、思い切ってアカウントを削除した。何度か X を批判する記事を書いていたが、所詮犬の遠吠え、離脱した方がすっきりすると痛感したからだ。そして新たなプラットフォーム Bluesky に移行したわけである。11月14日付け Fastcompany の記事によると「イーロン・マスクがドナルド・トランプをホワイトハウスに復帰させたことが転換点となり、分散型 X の代替手段に人々が集まる中で Bluesky には力がある頻繁に聞かれるようになったようだ。

Bluesky によると、先週から100万アカウントがネットワークに参加し、ユーザー数は合計で約1,500万人になった」そうである。さて Bluesky だが日本語は無論のこと、多言語に対応している。そしてインターフェースが X に酷似している。と思った人は、理由を聞けばなるほどと納得するはずだ。そもそも Bluesky 作ったのは Twitter 創設者のジャック・ドーシー氏だったのである。Bluesky が注目に値するのは AT プロトコルと呼ばれるオープンフレームワーク上に構築されていることで、これにより、特定の企業が所有しない分散型ネットワークが実現する。テキスト駆動型ソーシャルメディア・フィードの中で最もオープンであることである。メタバースの Threads よりも話題性が高く、分散型ソーシャルメディアの Mastodon よりも簡単に参加できる。逸話的に言うと、現在の Bluesky の雰囲気は繰り返しになるが 2000 年代後半の X (まだ Twitter と呼ばれていたころ) に似ている。今のところ日本人は少ないようだが、参加する人が増えるにつれてく歓迎される雰囲気だ。

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