立憲民主党の辻元清美参院議員が11月5日、BS-TBS「報道1930」に出演し、高市早苗首相の振る舞いについて真意を語った。先月28日、高市早苗首相はトランプ米大統領と米海軍横須賀基地を訪問した際、満面の笑みでサムアップポーズをしたり、ぴょんぴょん跳びはねながら右手を突き上げたりしたことが議論の的に。米国のヘリに乗り米軍基地の原子力空母の壇上で演説したのはマズかったのではという指摘だった。就任直後だったため米側の都合に従わざるを得なかったかもしれないが、相変わらず日本が米国の属国扱いを受けているという印象を残した。高市早苗首相は11月10日の衆院予算委員会で、台湾有事は日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になりうるとの考えを示した自身の国会答弁について「今後、特定のケースを想定したことをこの場で明言することは慎む」と語った。ただ自身の発言そのものは「政府の従来の見解に沿ったもの」として撤回しない意向を示した。確かに「存立危機事態」は集団的自衛権の行使を可能とするための新しい要件として、2014年7月の閣議決定を経て、2015年成立の安全保障関連法によって導入された概念である。一方、中国外務省の林剣副報道局長は同日の定例会見で「日本政府のこれまでの政治的な約束と著しく矛盾する」として「強烈な不満と断固とした反対」を表明し、日本側に「厳正な申し入れと強烈な抗議」を行ったことを明らかにした。首相は7日の同予算委員会で、台湾有事について「存立危機事態」にあたる具体例を問われ「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだと私は考える」と述べ、台湾有事が存立危機事態にあたる可能性があるか明言を避けてきた歴代政府の見解を踏み越える発言をしていた。「具体的に明らかにすることで国内外で影響が出てくる」などと物議を醸した。
11月10日の衆議院予算委員会で、立憲民主党の大串博志氏から「他国の反応も懸念される。撤回や取り消しはしないのか」と問われると、首相は「最悪のケースを想定した答弁だった」などと釈明したが、撤回は否定。一方、具体的な状況への言及は「反省点」だと述べ「今後、特定のケースを想定したことをこの場で明言することは慎む。私の金曜日(7日)のやり取りを政府統一見解として出すつもりはない」と強調した。ところで高市早苗首相は、右翼的思想に共鳴はしているかもしれないが、その本質は「右翼的ポピュリスト」に過ぎず、本当の意味での保守、あるいは右翼とは言えない。社会全体が右傾化している流れに乗るため、あるいは安倍首相の歓心を買うために右翼的言動をしていたが、それは高市早苗首相の確固たる思想を反映したものではないという見方がある。つまり、高市早苗首相の目標は、右翼的思想に基づいた政治の実行ではなく、単に、首相になることに過ぎなかった。その目的のために最も適切な立ち位置をとったのだということになる。この見方に立てば首相になることでひとまずその目的を達成した高市早苗首相は、次なる目的のために政治姿勢を変えることを厭わないはずだ。そして次なる目的は何かといえば、首相の座を守ること、それもなるべく長期にわたってである。古賀茂明氏は雑誌 AERA デジタル版で「私が懸念するのは、極右層を満足させるために高市早苗首相が対中強硬策を選択するのではないかということだ。日本の世論は、この10年で極端に嫌中的傾向を強めている。世論が嫌中なら、中国との関係が悪化しても、政権としての失点にはならない。ただし、前述のとおり、高市早苗首相は、踏み込んだ歴史修正主義的な発言はしないはずだ。中国に厳しい姿勢をとるためにも、韓国との良好な協力関係はなんとしても維持したいと考えるからだ」と述べている。
高市首相の「存立危機事態」発言に過敏反応する中国の背景にある習近平主席の外交スタンスの転換

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