2022年12月31日

イーロン・マスクの<変革>に翻弄されたツイッターの利用者たち

Elon Twitter

イーロン・マスクが買収したツイッターを巡って多くの利用者が翻弄されたが、私もその例外ではない。何しろ今年の11月と12月の2カ月の間で、当ブログで都合6回にわたって取り上げたのだから。

  1. 22/11/13 イーロン・マスクが買収したツイッター の前途に対する懸念
  2. 22/11/13 イーロン・マスクの Twitter 青バッジに赤信号
  3. 22/11/19 イーロン・マスクは自分自身を解雇すべきだ
  4. 22/12/17 イーロン・マスクのツイッターはもはやパーソナルメディア
  5. 22/12/20 イーロン・マスクはツイッターを手放すのだろうか
  6. 22/12/25 イーロン・マスクはツイッターの CEO の座を明け渡すだろうか

マスクはツイッターに対し目まぐるしい<変革>を頻繁に断行したが、最大の問題点は、停止されていたドナルドトランプ前大統領のアカウントを復活させたことである。さらに他の停止アカウントに対し「恩赦」をしたようだが、どのアカウントが復活されたのか、その総数を含め、恩赦の詳細は明らかになっていない。断行の根拠は「人々の声は神の声」を添えて投票を実施したことである。投票なら何でもアリというわけである。民間の調査団体 CCDH(デジタルヘイト対抗センター)は12月初旬、マスク氏の買収後、ヘイトスピーチが急増しているとする調査結果を発表した。マスクは買収後、ヘイトスピーチの減少を主張し、11月3日には下記のような「買収前の3分の1に減った」とグラフを添えてツイートしている。

Hate Speevh

しかし同団体はグラフの根拠となるデータが開示されておらず、検証できないとしている。前エントリ―「イーロン・マスクはツイッターの CEO の座を明け渡すだろうか」に書いたように利用者による投票、つまり「人々の声は神の声」で CEO に相応しくないとされた。後任が見つかれば CEO(最高経営責任者)を辞任すると表明したが、後任が見つからないのか、それとも敢えて探さないのだろうか。ツイッター社で働いていたこともあるという、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のサラ・ロバーツ准教授は NNN ロサンゼルス支局のインタビューに対し、マスクが行った自らの進退をかけた投票を「ただのパフォーマンス」だと切り捨てたという。閑話休題。というわけで、2022年最後のエントリーは、ツイッターの CEO イーロン・マスクの話題になってしまいました。それでは来年も当ブログの購読をよろしくお願いします。

NBC  Elon Musk's 'amnesty' pledge brings back QAnon, far-right Twitter accounts | NBC News

2022年12月25日

イーロン・マスクはツイッターの CEO の座を明け渡すだろうか

Cartoon of Elon Musk

ツイッターのイーロン・マスク CEO(最高経営責任者)は、後任が見つかれば辞任すると表明した。前エントリ―「イーロン・マスクはツイッターを手放すのだろうか」で紹介したように、将来の CEO は「倒産への道を突き進んできた会社を経営するのは、よほど苦痛が好きでなければならない」「ツイッターを存続させるスキルと能力を持つ人なら、おそらくその仕事を望まないだろう」と持論を展開している。マスクは買収当初から暫定的に CEO を務め、後任に引き継ぐ計画だったのかもしれない。ただ「誰もやりたがらない」と悲観的な見解を述べたわけである。言い換えれば、赤字のツイッターを立て直すのは自分にしかできない厄介な仕事であると。マスクは大量解雇を断行したが、これは「暴挙」ではないという見解もあるようだ。つまりツイッターは営業危機に陥ったわけではなく、赤字にいたった費用の多くは人件費であり、さらにコストへかなりの比率を占めたというのである。従って半分の従業員を解雇しても同等の収益を上げられれば、当然ながら利益もキャッシュフローも劇的に改善することになると言うのである。たしか、前 CEO のジャック・ドーシーは「会社の規模を急拡大し過ぎた」と述べていた。この点を踏まえてマスクは買収に乗り出したのではと推測される。

tweet
私はこの仕事を引き受けてくれる愚かな人を見つけ次第、CEOを辞任するつもりです。その後、私はソフトウェアとサーバーのチームを運営するだけです。

しかしマスク体制になってから、大手広告主が広告出稿を相次ぎ停止したため、経営の足枷になっていると思われる。仮に新しい CEO が見つかったとしても、筆頭株主はマスクであり、傀儡 CEO に過ぎないのではないだろうか。持ち株を売り払わない限り、ツイッターはマスクの「私物」のままなのである。ところでマスクの変革のポイントになったのが、認証バッジの新しい仕様である。サブスクリプションサービス「Twitter Blue(ツイッターブルー)」の再開にあわせ、日本でも首相官邸などの政府機関の公式アカウントのバッジの色を青から灰色に、任天堂などの企業は金色に変更された。ただ国会議員や著名人の青バッジは今のところ変更がない。米国やイギリスなどでは、月額定額の料金を支払えば誰でも青バッジをつけることができる。このシステムはいずれ日本でも導入されると思われるが、なりすまし防止のために生まれた青バッジだが、誰でもつけられるようになれば、ステータスの意味合いが消滅する。以上のようにツイッターは変革の真っ最中であり、果たしてツイート通り CEO の座を明け渡すだろうか。ニューヨークタイムズ紙は「マスクは後任が見つかれば辞任すると言っているが、実際にボスの座を退くかどうかは定かでない」と報じている。同感、私もそう思う。

Twitter  オピニオン | イーロン・マスク買収後のツイッターはどう変化したのか | 田中辰雄 計量経済学

2022年12月23日

写真家集団マグナムに参画した初めての女性報道写真家イヴ・アーノルド

Marlene Dietrich at the Recording Studio of Colombia Records, New York, 1952
Eve Arnold (1977)

写真家イヴ・アーノルドは1912年4月21日にペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれた。両親はロシア系ユダヤ人の移民で、ユダヤ教のラビであるウィリアム・コーエンとその妻ベッシーの9人の子どもの5番目だった。彼女が写真に興味を持ったのは、1946年、ニューヨークの写真仕上げ工場で働いていたときだった。マンハッタンのニュースクール大学でハーパーズバザー誌のアートディレクター、アレクセイ・ブロドヴィッチから6週間余りかけて写真の技術を習得した。アーノルドは20世紀後半を象徴するような人物を被写体にしてきたが、同時に、社会から取り残された人々や恵まれない人々の生活も記録してきた。彼女にとって、非凡な人間も平凡な人間も分け隔てはなく、ただレンズの前にいるだけの人間だったのである。ロバート・キャパ、マーガレット・バーク=ホワイト、ゴードン・パークス、アンリ・カルティエ=ブレッソンなどの探検的な写真家による印象的な写真で『ルック』や『ライフ』といった出版物が読者の関心を独占していた、まさにジャーナリスティック写真の黄金期だった。彼女は有名人の信頼を獲得し、その親密な瞬間を撮影した。この戦略によって、マリリン・モンローと独自の理解を深め、その写真はイブ・アーノルドの写真集に収録された。モンローの撮影を開始したのは1951年からだった。

Havana, Cuba, 1954
Bar girl in a brothel in the red light district, Havana, Cuba, 1954

モンローの最も印象的なイメージは、1961年の映画 "The Misfits"(邦題「荒馬と女」)の撮影現場でのものだ。2005年には、ロンドンのハルシオン・ギャラリーで、この女優の隠し撮り写真が展示された。モンローのほか、マルコムX、ジョーン・クロフォード、エリザベスⅡ世などの写真を撮影した。1960年代、息子のフランク・アーノルドとともに米国から英国に移住、サンデー・タイムズ紙の仕事をしながら、色彩を使った写真を撮り始めた。撮影のため、南アフリカ、アフガニスタン、ロシア、中国を訪れる。中国には2度訪れ、石油掘削業者、モンゴルの騎馬民族、共産主義者の役人などを撮影した。

Marilyn Monroe
Marilyn Monroe on the Nevada desert, filming "The Misfits", 1960

1980年にはブルックリン美術館で初の個展を開催し、写真集も出版された。同年、米国雑誌写真家協会は、イブ・アーノルドに生涯功労賞を授与。さらに2010年には、カンヌのソニー・ワール・フォトグラフィー・アワードでも賞を受賞している。1993年には英国王立写真協会から名誉フェローに、ニューヨークの国際写真センターからマスター・フォトグラファーに指名された。その4年後、国立メディア博物館は、アーノルドを西ヨークシャーの諮問委員に任命した。2003年には、その功績を称えられ、英国政府から大英帝国勲章を授与された。

Malcolm X
Malcolm X Collecting Money for the Black Muslims, Washington, D.C., 1960

また、スコットランドのセント・アンドリュース大学とスタッフォードシャー大学から、科学博士と文学博士の2つの名誉学位を授与された。アーノルドはいくつかの写真シリーズを制作した。例えば "Eve Arnold's People (2009)"(イヴ・アーノルドの5人の人々)"Handbook (2004)"(ハンドブック)"Film Journal (2002)"(フィルム・ジャーナル)"In Retrospect (1995)"(振り返ってみると)"The Great British (1991)"(偉大な英国人)"All in a Day's Work (1989)"(今日の仕事すべて)"An Appreciation (1987)"(鑑賞)"Marilyn For Ever (1987)"(永遠のマリリン)"In America (1983)"(アメリカにて)など。

Hydrotherapy for political prisoners
Hydrotherapy for political prisoners, psychiatric hospital, 1966

そして "In China (1980)"(中国にて)"Flashback: The 50's (1978)"(フラッシュバック:50年代)"The Unretouched Woman (1976)"(未修整の女)などである。長年、ロンドン中心部のメイフェアに住んでいたが、病気になり、老人ホームに移った。そしてこの頃、彼女はカメラを持つことができなくなり、レオ・トルストイ、トーマス・マン、フョードル・ドストエフスキーなどのの著書を読むようになったという。イヴ・アーノルドは2012年1月4日、100歳を目前に99歳でロンドンで死去した。

magnum  Eve Arnold (1912-2012) | Biography, Selected Works and Most Recent | Magnum Photos

2022年12月20日

イーロン・マスクはツイッターを手放すのだろうか

Twitter Poll Musk

前エントリー「イーロン・マスクのツイッターはもはやパーソナルメディア」でマスクが著名メディアの記者のツイッター・アカウントを凍結したと書いた。その舌が乾かないうちに、あっさり撤回、凍結を解除した。買収直後に解雇した従業員の一部を呼び戻すなど、朝令暮改の連続である。ゴタゴタ続きだが、その経営が危ぶまれる。ビジネスの天才で巨額の財産を保有しているが、どこかに危うさが潜んでいる。素人ながら推測すると、テスラの電気自動車は世間の批判を浴びていない。嫌なら買わなければ良いことだし、むしろ、地球環境に優しく好感が持てる。ところがツイッターは言論プラットフォームであり、経営者の思想いかんでは批判の対象になる。つまりモノを作ってうるのではなう、発言の場を提供するソーシャルメディアである。そのメディアの所有者が玩具のごとく弄べば批判されのは自明の理である。マスクは共和党支持を鮮明にしているが、そのようなプラットフォームに対し、民主党支持者および、その議員たちはどう思っているのだろうか。場合によっては大統領選に大きな影響を与えるし。ロナルド・トランプ前大統領のアカウントを復活したの問題であった。

そのイーロン・マスクが突然、ツイッター社の CEO(最高経営責任者)を退くべきかどうかをユーザーに問う利用者投票を提案した。「私はツイッターの責任者を辞めるべきでしょうか? 私はこの投票の結果に従う」とツイートしたのである。英語の abide とは、受け入れるという意味である。投票は月曜日に締め切られ、結果が出た。1,700万人以上の有権者のうち、57.5パーセントが「イエス」と答えた。この結果について、マスクはまだコメントを出していない。この2ヶ月間の彼の行動と決断により、多くのツイッターユーザーが辞めたり、辞めようと考えたりするようになった。マスクは自らを言論の自由の強力な支持者であると述べている。ツイッターを引き継いだとき、広く異なる意見を持つ人々が利用できるように努めたという。しかし CEO としての彼の最近の行動は、これらの約束に反しているという批判もある。18日に行われたユーザーとの音声交流機能「スペース」で、マスクはツイッターの新しい CEO を見つけるのは難しいという見解を示した。将来の CEO は「倒産への道を突き進んできた会社を経営するのは、よほど苦痛が好きでなければならない」「ツイッターを存続させるスキルと能力を持つ人なら、おそらくその仕事を望まないだろう」と持論を展開した。結果判明後も「引き続きツイッター改革に取り組む」と発言しているし CEO の座に留まる可能性も否定できない。440億ドル(約6兆4000億円)を費やして手に入れた籠の鳥、おいそれと逃がすとは思えないからだ。

asahi  ツイッター「CEO辞任」に沈黙守るイーロン・マスク氏 投票方法は「変更へ」(朝日新聞デジタル)