2025年6月25日

ドナルド・トランプ大統領が頻繁に利用するソーシャルメディアを分析する

/DonaldTrumpTruthSocial

ドナルド・トランプ大統領のソーシャルメディアにおける存在感は、直接的で、しばしばフィルターを通さず、時には物議を醸すようなコミュニケーションが特徴である。彼は政治、政策、メディアなど様々なトピックについて自身の見解を表明するために、ソーシャルメディア、特にトゥルースソーシャルを頻繁に利用している。彼の投稿には、メディアへの攻撃、偏見への非難、侮辱がしばしば含まれていた。また、支持を集め、自身のアジェンダを宣伝し、批判に応えるためにもソーシャルメディアを利用した。ドナルド・トランプのソーシャルメディア利用の主な特徴は、直接的でフィルターを通さないコミュニケーションであることだ。ウィキペディアによると、トランプはしばしば伝統的なメディア・チャンネルを迂回し、聴衆と直接コミュニケーションをとっていた。彼は定期的にアメリカのメディアを批判し、偏向と腐敗のレッテルを貼った。強い言葉と侮辱の使用により、トランプの投稿には個人や組織を侮辱する内容が頻繁に含まれていた。そして自身の政策を宣伝し、政治キャンペーンへの支持を集めるためにソーシャルメディアを利用した。ランプはしばしばソーシャルメディアを使って、批判に対する弁明や論争への対応を行った。2021年1月6日のアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件では、彼のソーシャルメディア活動が一役買った。ウィキペディアによると、ホワイトハウスは彼のツイートを公式声明とみなすべきだと宣言したのである。ニューヨーク州立大学バッファロー校のコミュニケーション研究者による新しい論文によると、トゥルースソーシャルは、2022年の中間選挙期間中にドナルド・トランプへのニュースの注目を高めるのに、ツイッター(オーナーのイーロン・マスクは X と改名した)が2016年の予備選挙期間中に実施したよりも効果的だった。この傾向は主に左派と右派の党派メディアによって推進された。しかしその成功には限界があった。ジャーナリストたちは、当時、そして各プラットフォームを通じて、トランプ氏のソーシャルメディアの使用について違った形で報道しており、2016年のツイートの場合と比べて、彼のトゥルースソーシャルの投稿を記事に直接組み込む頻度ははるかに少なかった。学術雑誌 Journal of Information Technology & Politics(情報技術と政治ジャーナル)に掲載された調査結果は、急速に進化するデジタルメディア環境において、政治的手段としてのソーシャルメディアの影響、ジャーナリズムの慣行の変化、政治的過激派に人気のオルタナティブテクノロジー系ソーシャルメディアプラットフォームの役割についての知識を深めるものである。「私たちの研究は、トランプ大統領がソーシャルメディアを通じて注目を集める能力は、特定のプラットフォームによるものではなく、ソーシャルメディアのユーザーを惹きつける能力によるものだということを明らかにしました」と、文学部コミュニケーション学科助教授で論文の筆頭著者であるイニ・チャン(張旖妮)は述べているという。

TruthSocial
海外で平和が実現した今、国内で「この上なく素晴らしい法案」を可決して、一刻も早く私の机に届けることでこの仕事を終わらせなければなりません。建国250周年の祝賀行事が始まる中、これはアメリカ合衆国の偉大な人々への歴史的な贈り物となるでしょう。私たちはついに黄金時代を迎え、すべての国民にかつてない安全、安心、そして繁栄をもたらすでしょう。上院議員の皆さんはどうしてもというなら部屋に閉じこもり、家に帰らず、今週中にこの合意を成立させてください。下院と協力して、彼らがこの合意を直ちに採択し、可決できるようにしてください。これが完了するまで、誰も休暇を取ることはできません。私たちの協力のおかげで、すべての人、特にアメリカ国民は、より豊かな生活を送ることができるでしょう。アメリカを再び偉大にしよう!

現職大統領に一般的に与えられる大量の報道を避けるため、2020年の選挙データを導入するのではなく、2016年(トランプが候補者だったとき)と2022年(同氏は大統領職を退いたが、まだ政治活動をしていたとき)の比較期間を使用したと述べている。「この話には二つの側面がある。トランプ氏にとってのニュースの牽引役としてのトゥルースソーシャルの有効性と、ツイッターほど効果的ではない点だ」と彼女は言う。チャン助教授は、トランプが2021年にツイッターから削除され(アカウントは復活したが、まだ使われていない)、その後2022年にトゥルースソーシャルを立ち上げたことで、オルタナティブ・テック・プラットフォームを通じて注目を集めることに疑問が生じたと述べている。しかし、なぜ効能に違いが出るのだろうか? チャンによると、まず第一に、トゥルースソーシャルの活動は X で見られる活動のほんの一部に過ぎないという。今日でもニッチなプラットフォームのままだが、2022年にはその存在を知っているアメリカ人はわずか4分の1程度だった。「規模は小さいにもかかわらず、あらゆる分野の報道機関が依然としてこのニュースを追っています」とチャンは言う。「トランプのソーシャルメディアでの活動と、その活動に対するメディア全体の注目度との間に、トゥルースソーシャルと X の両方でプラスの相関関係が見られるという事実は、トランプがアメリカ政治において依然として重要な地位を占めていることを物語っています」と言うのだ。「この論文は、『オルタナテック』というレッテルよりも、ジャーナリストがトランプ氏の発言の『ニュース価値』と見なしたもののほうが重要だったことを示唆している」と彼女は言う。しかしチャンによると「これは他の人にも一般化できる発見ではなく、トランプにとっての限界となる可能性があるという。「トランプ氏は自身の政治的・経済的影響力を駆使し、変化するメディア環境に適応してきました」「他の候補者にも同じ結果を期待するのは非現実的ですが、トランプ氏の行動は他の候補者にとって手本となるかもしれません」と彼女は言う。オルタナティブテックの潜在的効果が限られているのは、編集上の優先順位の変化とも関係があるかもしれない。余談ながらトランプは「T1」と称する黄金色のスマートフォンを使っているようだが、その製造元など詳細は不明である。小さな画面で、内容はともかく、ミススペルがない文章を書いているのには感心せざるを得ない。

wikipedhia From Wikipedia, the free encyclopedia. Read artcle Social media use by Donald Trump

2025年6月24日

花街という俗世界と共存する仏教寺院の半夏生

半夏生
半夏生(はんげしょう)建仁寺塔頭両足院(京都市東山区大和大路四条下る)

梅雨の晴れ間、京都市東山区の建仁寺塔頭両足院「初夏の半夏生庭園特別公開」に出かけた。建仁寺は京都市東山区の花街、祇園甲部の南側にあるが、花見小路を抜けながら、今はなきお茶屋「石幸(いしゆき)」の片隅でお座敷遊びの真似ごとをしたことを思い出した。花街と仏教寺院は同じ「白足袋」の仲間、縁が深いように見える。舞妓時代から知っていた芸妓が引退、祇園切り通しに料理店を開いたので、通うようになったことがつい昨日のように思い出される。その店で建仁寺の高僧と懇意になり「坐禅をしてみたい」と懇願したところ「やめておきなはれ」と諭された。坐禅の案内を見ることがあるが、それは真の修業とは言い難いものが多く、安易に禅寺に飛びこむと「怪我をし兼ねない」というのだ。僧侶のお座敷遊びは「解脱」ゆえのものかと感心したものである。千葉市若葉区の曹洞宗眞聚山正因寺のウェブサイトの解説「禅宗における坐禅とは?坐禅の本当の意味や瞑想との違いを徹底解説」によると、坐禅の「坐」という言葉には「すわる」という意味がある。坐禅における「すわる」とは、一切の邪念から離れて、普遍的なものは存在しないという無我の状態で精神統一をすることだという。そのため、坐禅をするときには、動かないように安定させることが求められという。

zen

坐禅に似た動作として「瞑想」がある。坐禅と瞑想には似ている部分もあるが、大きく異なるのは目的だという。瞑想とは、目を閉じた状態で姿勢を正して、心を何かに集中させることを意味している。瞑想を行うことで集中力を高めたり、睡眠の質を上げたりすることが可能である。また、ストレスを軽減させて、精神を安定させるという効果も期待できるという。それでは祇園切り通しの料理店で老師が語っていた「坐禅による心の怪我」とはいったい何だろう。坐禅は心の安定や集中力向上に役立つとされているが、やり方を間違えると、心の怪我につながる可能性もある。特に、精神的に不安定な状態での坐禅は、自己の内面と向き合うことで、過去のトラウマや抑圧された感情が表面化し、かえって精神的な負担になることがある。どうやら精神的に不安定な時の坐禅は危険ということらしいのである。ところで両足院は半夏生(はんげしょう)の庭で知られる。この花の葉が半分白くなって、化粧しているようになるこの季節を半夏生という。つまり半化粧が転じて半夏生になったわけである。それにしても白塗りの舞妓・芸妓の化粧は艶やかで美しいと思う。清楚で清々しい半夏生なのだが、花街という俗世界と共存しているようだ。下記リンク先は臨済宗円覚寺派大本山円覚寺掲載の「坐禅とは」です。

buddha  坐禅とは形無き自己に覚めて不死で死し不生で生れ三界を遊戯 北鎌倉・臨済宗円覚寺派大本山円覚寺

2025年6月22日

写真術における偉大なる達人たち

Herd
F. Dilek Uyar (born 1976) Dusty Journey of Sheep in Bitlis

2021年の秋以来、思いつくまま世界の写真界20~21世紀の達人たちの紹介記事を拙ブログに綴ってきましたが、2025年6月22現在のリストです。右端の()内はそれぞれ写真家の生年・没年です。左端の年月日をクリックするとそれぞれの掲載ページが開きます。

21/10/06多くの人々に感動を与えたアフリカ系アメリカ人写真家ゴードン・パークスの足跡(1912–2006)
21/10/08グループ f/64 のメンバーだった写真家イモージン・カニンガムは化学を専攻した(1883–1976)
21/10/10圧倒的な才能を持ち現代アメリカの芸術写真を牽引したポール・ストランド(1890–1976)
21/10/11何気ない虚ろなアメリカを旅したスイス生まれの写真家ロバート・フランク(1924–2019)
21/10/13作為を排した新客観主義に触発されたストリート写真の達人ロベール・ドアノー(1912–1994)
21/10/16大恐慌時に農村や小さな町の生活窮状をドキュメントした写真家ラッセル・リー(1903–1986)
21/10/17日記に最後の晩餐という言葉を残して自死した写真家ダイアン・アーバスの黙示録(1923–1971)
21/10/19フォトジャーナリズムの手法を芸術の域に高めた写真家ユージン・スミスの視線(1918–1978)
21/10/24時代の風潮に左右されず独自の芸術観を持ち続けたプラハの詩人ヨゼフ・スデック(1896-1976)
21/10/27西欧美術を米国に紹介した写真家アルフレッド・スティーグリッツの功績(1864–1946)
21/11/01美しいパリを撮影していたウジェーヌ・アジェを「発見」したベレニス・アボット(1898–1991)
21/11/08近代ストレート写真を先導した 20 世紀の写真界の巨匠エドワード・ウェストン(1886–1958)
21/11/10芸術を通じて社会や政治に影響を与えることを目指した写真家アンセル・アダムス(1902–1984)
21/11/13大恐慌を記録したウォーカー・エヴァンスの被写体はその土地固有の様式だった(1903–1975)
21/11/16写真少年ジャック=アンリ・ラルティーグは個展を開いた 69 歳まで無名だった(1894–1986)
21/11/20ハンガリー出身の世界で最も偉大な戦争写真家ロバート・キャパの短い人生(1913–1954)
21/11/25児童労働の惨状を訴えるため現実を正確に捉えた写真家ルイス・ハインの偉業(1874–1940)
21/12/01マグナム・フォトを設立した写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンの決定的瞬間(1908–2004)
21/12/06犬を人間のいくつかの性質を持っているとして愛撮したエリオット・アーウィット(1928-2023)
21/12/08リチャード・アヴェドンの洗練され権威ある感覚をもたらしたポートレート写真(1923–2004)
21/12/12デザインと産業の統合に集中したバウハウスの写真家ラースロー・モホリ=ナジ(1923–1928)
21/12/17ダダイズムとシュルレアリスムに跨る写真を制作したマン・レイは革新者だった(1890–1976)
21/12/29フォトジャーナリズムに傾倒したアラ・ギュレルの失われたイスタンブル写真素描(1928–2018)
22/01/10ペルーのスタジオをヒントに自然光に拘ったアーヴィング・ペンの鮮明な写真(1917-2009)
22/02/25非現実的なほど歪曲し抽象的な遠近感を生み出した写真家ビル・ブラントのカメラ(1904–1983)
22/03/09男性ヌードや花を白黒で撮影した異端の写真家ロバート・メイプルソープへの賛歌(1946–1989)
22/03/18ニューヨーク近代美術館で写真展「人間家族」を企画したエドワード・スタイケン(1879–1973)
22/03/24公民権運動の影響を記録したキュメンタリー写真家ブルース・デヴッドソンの慧眼(born 1933)
22/04/21社会的弱者に寄り添いエモーショナルに撮影した写真家メアリー・エレン・マーク(1940-2015)
22/05/20早逝した写真家リンダ・マッカートニーはザ・ビートルズのポールの伴侶だった(1941–1998)
22/06/01大都市に変貌する香港を活写して重要な作品群を作り上げたファン・ホーの視線(1931–2016)
22/06/12肖像写真で社会の断面を浮き彫りにしたドキュメント写真家アウグスト・ザンダー(1876–1964)
22/08/01スペイン内戦取材で26歳という若さに散った女性戦争写真家ゲルダ・タローの生涯 (1910–1937)
22/09/16カラー写真を芸術として追及したジョエル・マイヤーウィッツの手腕(born 1938)
22/09/25死と衰退を意味する作品を手がけた女性写真家サリー・マンの感性(born 1951)
22/10/17北海道の風景に恋したイギリス人写真家マイケル・ケンナのモノクロ写真(born 1951)
22/11/06アメリカ先住民を「失われる前に」記録したエドワード・カーティス(1868–1952)
22/11/16大恐慌の写真 9,000 点以上を制作したマリオン・ポスト・ウォルコット(1910–1990)
22/11/18人間の精神の深さを写真に写しとったアルゼンチン出身のペドロ・ルイス・ラオタ (1934-1986)
22/12/10アメリカの生活と社会的問題を描写した写真家ゲイリー・ウィノグランド(1928–1984)
22/12/16没後に脚光を浴びたヴィヴィアン・マイヤーのストリート写真(1926–2009)
22/12/23写真家集団マグナムに参画した初めての女性報道写真家イヴ・アーノルド(1912-2012)
23/03/25写真家フランク・ラインハートのアメリカ先住民のドラマチックで美しい肖像写真(1861-1928)
23/04/13複雑なタブローを構築するシュールレアリスム写真家サンディ・スコグランド(born 1946)
23/04/21キャラクターから自らを切り離したシンディー・シャーマンの自画像(born 1954)
23/05/01震災前のサンフランシスコを記録した写真家アーノルド・ジェンス(1869–1942)
23/05/03メキシコにおけるフォトジャーナリズムの先駆者マヌエル・ラモス(1874-1945)
23/05/05文学と芸術に没頭し超現実主義絵画に着想を得た台湾を代表する写真家張照堂(1943-2024)
23/05/07家族の緊密なポートレイトで注目を集めた写真家エメット・ゴウィン(born 1941)
23/05/22欲望やジェンダーの境界を無視したクロード・カアンのセルフポートレイト(1894–1954)
23/05/2520世紀初頭のアメリカの都市改革に大きく貢献したジェイコブ・リース(1849-1914)
23/06/05都市の社会風景という視覚的言語を発展させた写真家リー・フリードランダー(born 1934)
23/06/13写真芸術の境界を広げた暗室の錬金術師ジェリー・ユルズマンの神技(1934–2022)
23/06/15強制的に収容所に入れられた日系アメリカ人を撮影したドロシア・ラング(1895–1965)
23/06/20劇的な国際的シンボルとなった「プラハの春」を撮影したヨゼフ・コウデルカ(born 1958)
23/06/24警察無線を傍受できる唯一のニューヨークの写真家だったウィージー(1899–1968)
23/07/03フォトジャーナリズムの父アルフレッド・アイゼンシュタットの視線(1898–1995)
23/07/06ハンガリーの芸術家たちとの交流が反映されたアンドレ・ケルテスの作品(1894-1985)
23/07/08家族が所有する島で野鳥の写真を撮り始めたエリオット・ポーター(1901–1990)
23/07/08戦争と苦しみを衝撃的な力でとらえた報道写真家ドン・マッカラン(born 1935)
23/07/17夜のパリに漂うムードに魅了されていたハンガリー出身の写真家ブラッサイ(1899–1984)
23/07/2020世紀の著名人を撮影した肖像写真家の巨星ユーサフ・カーシュ(1908–2002)
23/07/22メキシコの革命運動に身を捧げた写真家ティナ・モドッティのマルチな才能(1896–1942)
23/07/24ロングアイランド出身のマルクス主義者を自称する写真家ラリー・フィンク(born 1941)
23/08/01アフリカ系アメリカ人の芸術的な肖像写真を制作したコンスエロ・カナガ(1894–1978)
23/08/04ヒトラーの地下壕の写真を世界に初めて公開したウィリアム・ヴァンディバート(1912-1990)
23/08/06タイプライターとカメラを同じように扱った写真家カール・マイダンス(1907–2004)
23/08/08ファッションモデルから戦場フォトャーナリストに転じたリー・ミラーの生涯(1907-1977)
23/08/14ニコンのレンズを世界に知らしめたデイヴィッド・ダグラス・ダンカンの功績(1907-2007)
23/08/18超現実的なインスタレーションアートを創り上げたサンディ・スコグランド(born 1946)
23/08/20シカゴの街角やアメリカ史における重要な瞬間を再現した写真家アート・シェイ(1922–2018)
23/08/22大恐慌時代の FSA プロジェクト 最初の写真家アーサー・ロススタイン(1915-1986)
23/08/25カメラの焦点を自分たちの生活に向けるべきと主張したハリー・キャラハン(1912-1999)
23/09/08イギリスにおけるフォトジャーナリズムの先駆者クルト・ハットン(1893–1960)
23/10/06ロシアにおけるデザインと構成主義創設者だったアレクサンドル・ロトチェンコ(1891–1956)
23/10/18物事の本質に近づくための絶え間ない努力を続けた写真家ウィン・バロック(1902–1975)
23/10/27先見かつ斬新な作品により写真史に大きな影響を与えたウィリアム・クライン(1926–2022)
23/11/09アパートの窓から四季の移り変わりの美しさなどを撮影したルース・オーキン(1921-1985)
23/11/15死や死体の陰翳が纏わりついた写真家ジョエル=ピーター・ウィトキンの作品(born 1939)
23/12/01近代化により消滅する前のパリの建築物や街並みを記録したウジェーヌ・アジェ(1857-1927)
23/12/15同時代で最も有名で最も知られていないストリート写真家のヘレン・レヴィット(1913–2009)
23/12/20哲学者であることも写真家であることも認めなかったジャン・ボードリヤール(1929-2007)
24/01/08音楽や映画など多岐にわたる分野で能力を発揮した写真家ジャック・デラーノ(1914–1997)
24/02/25シチリア出身のイタリア人マグナム写真家フェルディナンド・スキアンナの視座(born 1943)
24/03/21パリで花開いたロシア人ファッション写真家ジョージ・ホイニンゲン=ヒューン(1900–1968)
24/04/04報道写真家として自活することに成功した最初の女性の一人エスター・バブリー(1921-1998)
24/04/20長時間露光により時間の多層性を浮かび上がらせたアレクセイ・ティタレンコ(born 1962)
24/04/2820世紀後半のイタリアで最も重要な写真家ジャンニ・ベレンゴ・ガルディン(born 1930)
24/04/30トルコの古い伝統の記憶を守り続ける女性写真家 F・ディレク・ウヤル(born 1976)
24/05/01ファッション写真に大きな影響を与えたデヴィッド・ザイドナーの短い生涯(1957-1999)
24/05/08社会の鼓動を捉えたいという思いで写真家になったリチャード・サンドラー(born 1946)
24/05/10直接的で妥協がないストリート写真の巨匠レオン・レヴィンシュタイン(1910–1988)
24/05/12自らの作品を視覚的な物語と定義している写真家スティーヴ・マッカリー(born 1950)
24/05/14多様な芸術の影響を受け写真家の視点を形作ったアンドレアス・ファイニンガー(1906-1999)
24/05/16芸術的表現により繊細な目を持つ女性写真家となったマルティーヌ・フランク(1938-2012)
24/05/18ドキュメンタリー写真をモノクロからカラーに舵を切ったマーティン・パー(born 1952)
24/05/21先駆的なグラフ誌『ピクチャー・ポスト』を主導した写真家バート・ハーディ(1913-1995)
24/05/24グラフ誌『ライフ』に30年間投稿し続けたロシア生まれの写真家リナ・リーン(1914-1995)
24/05/27旅する写真家として20世紀後半の歴史に残る象徴的な作品を制作したルネ・ブリ(1933-2014)
24/05/29高速ストロボスコープ写真を開発したハロルド・ユージン・エジャートン(1903-1990)
24/06/03一般市民とそのささやかな瞬間を撮影したオランダの写真家ヘンク・ヨンケル(1912-2002)
24/06/10ラージフォーマット写真のデジタル処理で成功したアンドレアス・グルスキー(born 1955)
24/06/26レンズを通して親密な講釈と被写体の声を伝えてきた韓国出身のユンギ・キム(born 1962)
24/07/05演出されたものではなく現実的なファッション写真を開発したトニ・フリッセル(1907-1988)
24/07/07スウィンギング60年代のイメージ形成に貢献した写真家デイヴィッド・ベイリー(born 1938)
24/07/13著名人からから小さな町の人々まで撮影してきた写真家マイケル・オブライエン(born 1950)
24/07/14人々のドラマが宿る都市のカラー写真を制作したコンスタンティン・マノス(born 1934)
24/08/04写真家集団「マグナム・フォト」所属するただ一人の日本人メンバー久保田博二(born 1939)
24/08/08ロバート・F・ケネディの死を悼む人々を葬儀列車から捉えたポール・フスコ(1930–2020)
24/08/13クリスティーナ・ガルシア・ロデロが話したいのは時間も終わりもない出来事だ(born 1949)
24/08/30ドキュメンタリーと芸術の境界を歩んだカラー写真の先駆者エルンスト・ハース(1921–1986)
24/09/01国際的写真家集団マグナム・フォトの女性写真家スーザン・メイゼラスの視線(born 1948)
24/09/09アパルトヘイトの悪と日常的な社会への影響を記録したアーネスト・コール(1940–1990)
24/09/14宗教的または民俗的な儀式に写真撮影の情熱を注ぎ込んだラモン・マサッツ(1931-2024)
24/09/23アメリカで最も有名な無名の写真家と呼ばれたエヴリン・ホーファー(1922–2009)
24/09/25自身を「大義を求める反逆者」と表現した写真家マージョリー・コリンズ(1912-1985)
24/09/27北海道の小さな町にあった営業写真館を継がず写真芸術の道を歩んだ深瀬昌久(1934-2012)
24/10/01現代アメリカの風変わりで平凡なイメージに焦点を当てた写真家アレック・ソス(born 1969)
24/10/04微妙なテクスチャーの言語を備えた異次元の写真を追及したアーサー・トレス(born 1940)
24/10/06オーストリア系イギリス人のエディス・チューダー=ハートはソ連のスパイだった(1908-1973)
24/10/08映画の撮影監督でもあったドキュメンタリー写真家ヴォルフガング・スシツキー(1912–2016)
24/10/15芸術のレズビアン・サブカルチャーに深く関わった写真家ルース・ベルンハルト(1905–2006)
24/10/19ランド・アートを通じて作品を地球と共同制作するアンディ・ゴールドワージー (born 1956)
24/10/29公民権運動の活動に感銘し刑務所制度の悲惨を描写した写真家ダニー・ライアン (born 1942)
24/11/01人間の状態と現在の出来事を記録するストリート写真家ピータ―・ターンリー (born 1955)
24/11/04写真を通じて現代の社会的状況を改善することに専念したアーロン・シスキンド(1903-1991)
24/11/07自然と植物の成長にインスピレーションを受けた写真家カール・ブロスフェルト(1865-1932)
24/11/09ストリート写真で知られているリゼット・モデルは教える才能を持っていた(1901-1983)
24/11/11カラー写真が芸術として認知されるようになった功労者ウィリアム・エグルストン(born 1939)
24/11/13革命後のメキシコ復興の重要人物だった写真家ローラ・アルバレス・ブラボー(1903-1993)
24/11/15チリの歴史上最も重要な写真家であると考えられているセルヒオ・ララインの視座(1931-2012)
24/11/19イギリスのアンリ・カルティエ=ブレッソンと評されたジェーン・ボウン(1925-2014)
24/11/25カラー写真の先駆者ソール・ライターは戦後写真界の傑出した人物のひとりだった(1923–2013)
24/11/25サム・フォークがニューヨーク・タイムズに寄せた写真は鮮烈な感覚をもたらした(1901-1991)
24/11/29ゲイ解放運動の活動家だったトランスジェンダーの写真家ピーター・ヒュージャー(1934–1987)
24/12/01複数の芸術的才能に恵まれていた華麗なるファッション写真家セシル・ビートン(1904–1980)
24/12/05ライフ誌と空軍で活躍した女性初の戦場写真家マーガレット・バーク=ホワイト(1904–1971)
24/12/07愛と美を鮮明に捉えたロマン派写真家エドゥアール・ブーバの平和への眼差し(1923–1999)
24/12/10保守的な政治体制と対立しながら自由のために写真を手段にしたエヴァ・ペスニョ(1910–2003)
24/12/15自然環境における人間の姿を研究することに関心を寄せた写真家マイケル・ぺト(1908-1970)
24/12/20ベトナム戦争中にナパーム弾攻撃から逃げる子供たちを撮影したニック・ウット(born 1951)
25/01/06記録映画の先駆者であり前衛映画製作者でもあった写真家ラルフ・スタイナー(1899–1986)
25/01/10アメリカ西部を占める文化の多様性を反映した写真家ローラ・ウィルソンの足跡(born 1939)
25/01/15フランスの人文主義写真運動で活躍したスイス系フランス人ザビーネ・ヴァイス(1924–2021)
25/02/03サルバドール・ダリとの共作でシュールな写真を創出したフィリップ・ハルスマン(1906–1979)
25/02/06ベトナム戦争に対する懸念を形にした写真家フィリップ・ジョーンズ・グリフィス(1936-2008)
25/02/18芸術に複数の糸を持っていたシュルレアリスムの写真家エミール・サヴィトリー(1903-1967)
25/03/19シュルレアリスムの先駆的な写真家でピカソのモデルで恋人だったドラ・マール(1907-1997)
25/03/25ホロコースト前の東欧のユダヤ人社会を記録した写真家ローマン・ヴィスニアック(1897-1990)
25/04/01ソーシャルワーカーからライフ誌の専属写真家に転じたウォレス・カークランド(1891–1979)
25/04/04写真家ビル・エプリッジは20世紀で最も優れたフォトジャーナリストの一人だった(1938-2013)
25/04/25ロバート・キャパの弟で総合施設国際写真センターを設立したコーネル・キャパ(1918-2008)
25/05/01激動1960年代の音楽家たちをキャプチャーした写真家エリオット・ランディの慧眼(born 1942)
25/05/23生まれ故郷ブラジルの熱帯雨林アマゾン川流域へのセバスチャン・サルガドの視座(1944-2025)
25/06/22風景への畏敬の念と激動の気象現象への驚異が伝わるミッチ・ドブラウナーの写真(born 1956)

子供の頃「明治は遠くなりにけり」という言葉を耳にした記憶がありますが、今まさに「20世紀は遠くなりにけり」の感があります。掲載した作品の大半がモノクロ写真で、カラー写真がわずかのなのは偶然ではないような気がします。20世紀のアートの世界ではモノクロ写真が主流だったからです。しかしデジタルカメラが主流になった21世紀、カラー写真の台頭に目覚ましいものがあります。ジョエル・マイヤーウィッツとサンディ・スコグランド、ジャン・ボードリヤール、 F・ディレク・ウヤル、マーティン・パー、コンスタンティン・マノス、久保田博二、ポール・フスコ、エルンスト・ハース、エヴリン・ホーファー、アレック・ソス、アンディ・ゴールドワージー、ウィリアム・エグルストン、ソール・ライタ、などのカラー作品を取り上げました。

aperture_bk  Famous Photographers: Great photographs can elicit thoughts, feelings, and emotions.

風景への畏敬の念と激動の気象現象への驚異が伝わるミッチ・ドブラウナーの写真

Wind Swept Tree
Wind Swept Tree, South Coast, California, 2006

ニューヨーク州ロングアイランドで1956年に生まれたミッチ・ドブラウナーは、父親から古いアーガスレンジファインダーをもらった瞬間から写真家としてのキャリアをスタートさせた。21歳の時、仕事を辞めてアメリカ南西部を旅し、自然の風景の無限の広がりや、アンセル・アダムスやマイナー・ホワイトといったアーティストの写真にインスピレーションを得た。2009年以降、ドブラウナーはアメリカ全土の異常気象を追い続けている。

Garden Trees, San Marino California, 2006
Lightning and Homestead, Wilcox, Arizona, 2017
Moonrise Trona, Trona Pinnacles, California, 2010
Lightning/Cotton Field, Willcox, Arizona, 2021
Mitch Dobrowner

バイオグラフィー:ニューヨーク州ロングアイランド(ベスページ)で育った私は、10代後半に迷いを感じていました。将来の進路に不安を感じていた父は、遊び道具として古いアーガスのレンジファインダーをくれました。それが私にとってどれほど大切なものになるか、父は知る由もありませんでした。リサーチをしてマイナー・ホワイトやアンセル・アダムスの写真を見てから、私はすぐに写真に夢中になりました。21歳で家を出て、仕事を辞め、友人や家族と離れ、アメリカ南西部を自分の目で見るために旅に出ました。カリフォルニアで妻と出会い、3人の子供をもうけ、自分たちのデザインスタジオを設立しました。ビジネスと子育てが写真撮影よりも優先されるようになり、その間、写真を撮るのをやめていました。数年後、2005年の初め、妻、子供たち、そして友人たちに刺激を受け、私は再びカメラを手に取りました。それ以来、この素晴らしい地球に対する私の思いを形にする写真を撮り続けるという使命を、私は持ち続けています。偉大な写真家たち、特にアンセル・アダムスには、写真という仕事への献身と、10代後半の私にインスピレーションを与えてくれたことに、深く感謝しています。彼らに会ったことはありませんが、彼らのインスピレーションは、私の人生の進むべき方向を決める力となりました。私は妻のウェンディ、息子のジョシュア、犬のジェット、そしていたずら猫のジャックスと一緒に、カリフォルニア州ロサンゼルスとローンパインの自宅に住んでいます。(ミッチ・ドブラウナー)

The Guardian  Mitch Dobrowner (1956-)'s best photograph: a monster landspout in Kansas by Dave Hall