2026年8月25日

音楽雑話(1)アルゼンチンタンゴの魔力

tango argentino
Un baile de Tango Argentino sensual

アルゼンチンという国名から人は何を想起するだろうか。多くの日本人は FIFA ワールドカップ 2026 で準優勝したサッカーチームの得点王リオネル・メッシ選手かもしれない。私は大草原パンパの思い出を綴った、作家で鳥類学者のウィリアム・H・ハドスンがまず脳裡をかすめる。さらに南部の荒涼とした美しい地域で、氷河や壮大な山々フィッツロイやペリト・モレノ氷河などが広がるパタゴニアだろうか。そして、煽情的な旋律を奏でるヴァイオリン、哀愁を帯びたリズムを刻むバンドネオン、詩情豊かなタンゴ・カンシオン。情熱と切なさが同居する音楽、タンゴである。タンゴは アルゼンチンを代表する音楽ジャンルの一つだが、その歴史は想像以上に奥深く複雑である。長年にわたり、タンゴはブエノスアイレスの街角で人気の音楽ジンルから、世界中で高く評価される芸術形式へと進化を遂げてきた。タンゴはアフリカのカンドンベ、キューバのハバネラ、アルゼンチンのミロンガなど、様々な音楽ジャンルや文化の融合にルーツを持つ。

Carlos Gardel
Carlos Gardel (1890-1935)

19世紀後半、タンゴはブエノスアイレスのラ・ボカやサン・テルモといった貧困地区の路上やバーで演奏されるようになった。こうした場所で、独自の社会規範や行動様式を持つタンゴ文化が発展していったのである。タンゴは初期の頃、アルゼンチンの上流階級から下品で危険なジャンルとして敬遠されていた。しかし時が経つにつれ人気が高まり、より格式の高い会場で上演されるようになった。1910年代にはタンゴはパリをはじめとするヨーロッパの都市で流行し、アルゼンチンのダンサーやミュージシャンはエキゾチックで刺激的な存在として見なされるようになった。黄金時代(1935年から1955年)には芸術的な頂点を迎えた。この時期、タンゴは大規模なオーケストラによって演奏され、劇場やコンサートホールで上演された。

Astor Piazzolla
Astor Piazzolla (1921-1992)

カルロス・ガルデルやアストル・ピアソラといった当時の最も有名な歌手や音楽家たちが、タンゴを代表する数々の名曲を生み出した。しかし1950年代後半になると、アルゼンチンではロックやポップスといった他の音楽ジャンルの台頭により、タンゴの人気は衰え始めた。ただヨーロッパや日本をはじめとする他の国々では、タンゴは依然として非常に人気が高かった。近年、タンゴはアルゼンチンをはじめ世界各地でルネサンスを迎えている。新世代の音楽家やダンサーたちがこのジャンルを再解釈し、他の音楽スタイルと融合させ、新たな表現形式を生み出している。今日でもタンゴはアルゼンチン文化の重要な一部であり、世界中の人々に愛されている。タンゴの音楽とダンスは、国とその国民の歴史、情熱、そしてアイデンティティを映し出す、他に類を見ない芸術形式である。下記リンク先の La 2x4(ラ・ドス・ポル・クアトロ)は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスを拠点とする、世界的に有名なタンゴ専門のインターネットラジオ局です。画面右上の「EN VIVO(ライブ)」ボタンをクリック(タップ)すると放送を聴くことができます。

broadcaster La 2x4 es parte del Sistema de Medios Públicos de la Ciudad Autónoma de Buenos Aires.

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