2025年5月27日

旅行案内書「ロンリープラネット」に出会った

Lonely Planet
京都・嵐山のページを広げた観光客
ロンリープラネット: 日本編

京都大学付属病院で外来検査を受けた帰路、バスの隣りの席の外国人観光客が手にしていた旅行案内書が目に止まり驚いた。なんとロンリープラネット(Lonely Planet)でないか。思わず写真を撮らせていただいた。私は金閣寺の近くに住んでいるので、連日、外国人観光客とバスに乗り合わせるが、このロンリープラネットに限らず、紙媒体の旅行案内書を所持している人に出会ったことがない。彼らはソーシャルメディアで細かい情報を仕入れ、来日するとスマートフォンに道案内してもらう。飲食店の在り処は無論のこと、バスの運航経路も簡単に分かるらしく、尋ねることなしに乗車している。路線番号を間違えるのはむしろ京都にやってきた日本人観光客である。私の経験ではアメリカのグレイハウンドのような長距離バスは、情報を得られやすく、余り迷わなかった。ところが都市、例えばトルコのイスタンブルの場合、ローカルバス路線はトルコ語を話せない観光客にはまさに迷路そのものだった。話を戻そう。ロンリープラネットは、イギリス人のモーリーン・ウィーラーとトニー・ウィーラー夫妻によって設立された。1972年、彼らはオックスフォードとケンブリッジの極東探検隊のルートを辿り、ヨーロッパとアジアを経由してオーストラリアまで陸路で旅に出た。社名はマシュー・ムーアの歌の中で聞き間違えられた lovely planet に由来する。ロンリープラネットの最初の本 Across Asia on the Cheap(格安でアジア横断)は94ページで、夫婦が自宅で執筆したという。1973年の初版は、ホチキス留めの小冊子と淡い青色のボール紙の表紙で構成されていたそうである。1981年にはインド版ガイドブックが出版されて、その後、世界各地に拡大した。1970年代の半ば、私はこのシリーズの存在を知っていたが、とっくに廃刊になっていると勘違いしていた。2009年、ロンリープラネットは月刊旅行雑誌ロンリープラネット・トラベラーの発行を開始した。これは多くの国でデジタル版が出版されてるようだ。しかし私にとっては昔ながらの紙媒体が好きだ。内なる幻の旅行案内書だから。蛇足ながら日本の「地球の歩き方」も廃刊になっていないが、インターネットやスマートフォンを通じて随時入手できるようになったことなどから、かなり危機的な状況にあるようだ。

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