タンポポの綿毛(京都市左京区下鴨半木町)
1980年代半ば、京都を離れた私は東京で独り暮らしをしていた。雑誌のフォトエディターなどをしていたが、仕事上では、ある意味で充実していたのかもしれない。ただやはり独り暮らしには小さな隙間があったように記憶している。そのころ発表するアテもなく作った歌のひとつがこの「タンポポの花が咲いて」だった。
タンポポの花が咲いて
日差しは黄色
あの娘はおかしく
やさしいね
バベルの塔は
目に虚ろ
線と点を
散歩する
花びらひとひら
酒に浮く
言葉の裏に
耳傾け
ランボーは不良かい
詩人は不良なのよ
墓場のダンス
月明り
白い帽子の
手鞠歌
風が吹いて
飛んでゆく
逃げる歌を
追い求め
絵の具がひび割れ
あせてゆく
1988年秋、天皇の病状が悪化した。テレビは連日「本日のご容体は…」と報じ、日本中すべてが重い自粛ムードに包まれてしまった。年の瀬の12月末、私は皇居内の宮内庁に駐車していた報道用小型バスの中で、無線電話によって大阪への転勤を命ぜられた。私の東京生活が終り、そして昭和も終わったのだった。なお上に掲げた拙作の歌詞は、下記リンク先のミズーリ州立大学のウェブサイトにコレクションされている1969年収録のフォークソング Ramblin' Round のメロディで歌うことができる。
Ramblin' Round | As sung by Tom Aley, Ozark, Missouri on February 8, 1969 (2:03) MSU
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