2024年9月17日

悩ましい日本語長音のローマ字表記

ブリタニカ百科事典電子版

京都に "KOHYO" という看板を掲げたスーパーマーケットがある。私は「こひょう」と読んでいたのだが、ネット検索してウェブサイトを探したところ、経営企業の漢字表記は「光洋」、すなわち「こうよう」と読むことが分かった。つまり "OH" を「おう」「おー」と読ませたいということらしい。ジョン・F・ケネディ大統領が銃撃を受けた際、隣に座っていたジャクリーン夫人は「オー、ノー」と叫んだそうである。英語では "Oh, No!" と書く。しかしだからと言って、やはり "KOHYO" を「こうよう」「こーよう」というのはちょっと無理な感じがする。ところで私の姓は「大塚」だが、パスポートやクレジットカードには "OTSUKA" と印字されている。これをそのまま読めば「おつか」となり「小塚」と区別がつかない。振り仮名をふる場合は「おおつか」なので "OOTSUKA" が正しいと思うのだが、ヘボン式ではどうやらダメらしい。実際の発音は「おーつか」だから、パスポートでは20年前の2004年4月以降から "OHTSUKA" "OUTSUKA"と表記できるようになったようだ。

ローマ字表記分類

それでは「京都」はどうだろうか。読み方は「きょうと」だから訓令式ローマ字 "KYOUTO" としたいところだが、英字新聞はじめ一般に"KYOTO"と表記する。これじゃ「きょと」となってしまう。たまに "KYŌTO" と長音記号をつけた表記も見かけるが、ごく稀で普及していると思えない。それではなぜ "KYOTO" なのだろう。これには二つの理由が考えられる。ひとつは日本語では「オウ」と「オオ」を区別しないこと。そして英語が例えば New York(ニューヨーク)が「音を伸ばす」という概念を持たないことに要因があるようだ。何故こんなことを書くのか。私は写真共有サイト Flickr やソーシャルメディア Facebook に写真をポストする場合、地名その他を外国人に分かるようにローマ字で書いている。例えばずっと長い間京都の「四条通り」を "Shijo-dori" と書いていたが、最近は母音字の上に macron(マクロン)という横棒「¯」を付け "Shijō-dōri" と表記するようになった。ヘボン式ローマ字の長音表記なのだが、この方法が果たして適切なのかどうかちょっと自信がない。というのは外国人、特に英語圏の人々が、私が意図したように発音するか分からないからだ。蛇足ながらブリタニカ百科事典電子版では「京都」を "Kyōto" と長音記号をつけている。

PDF  日本語のローマ字表記の推奨形式 | 東京大学教養学部英語部会 |教養教育開発機構(PDF 206KB)

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