2023年6月8日

心を揺さぶるスロバキアのマリア・シュヴァルボヴァーの水泳プール写真

HASSELBLAD
In the Swimming Pool, Slovakia
Mária Švarbová

スロバキアのファインアート写真家マリア・シュヴァルボヴァー(1988年生まれ)は、写真シリーズ "In the Swimming Pool"(水泳プールにて)で、水泳のさまざまな段階にある女性たちを、心を揺さぶるような静止画で撮影している。水泳が「スポーツというより社会的義務」であった時代に建てられた築80年の建物は、真っ白なタイルと「ダイビング禁止」の看板が並んでいる。「水面の静けさと鏡のような反射に心を打たれました」「それと、看板がたくさんありました! 運動のために作られた空間なのに、何ができて何ができないかを教えてくれるのが好きなんです」と語る。写真家は常に人物を主な被写体としているが、このシリーズでは、撮影された被写体は主役であるスロバキア各地にある社会主義時代の公共プールの脇役なのではないかと、少なくとも最初のうちは疑問を抱きがちである。2014年にスタートしたこのシリーズの強烈なビジュアル・アイデンティティは、プールの場所を渋い幾何学的な背景として使用していることである。

Without Water
Without Water

その中で、女性の被写体が際立っているのは、コントロールされたポーズから発せられる動きや感情(実際にはマネキンのようにほとんど固まっているように見える)ではなく、鮮やかな色の水着や水泳帽が、それぞれの構図の主張要素としてポップに映るからである。マリアは「宇宙は人間がいなければ意味がない。また、その逆もしかり。空間がなければ人間も意味をなさない」「同様に、背景となるロケーションを取り除くと、泳いでいる人たちは脈絡がなくなってしまうのです」「このシリーズは、人々が社会で演じている根強い役割に疑問を投げかけるものです」「私のシリーズの主な焦点は、人間と空間を調和させることでした」と。

SWIM
Swimming Pool

そして「人間に魅了される」と言う。「感情のない人生において、決められた役割を変えることができない虚しさと無頓着さ」「興味深いのは、厳しく、動きのないイメージでありながら、不穏な空気を感じさせないことです」「むしろ、時間や時代だけでなく、見る人の感情を支配するものさえも超越しているように見える」と全体の物語をこう説明している。これらの画像を見ることで、鑑賞者は被写体の静止した平和を、あたかも伝達可能なエッセンスのように捉えることができるようである。マリアはウェーデンのマルメを拠点とする出版社 New Heroes & Pioneers から "Futuro Retro"(2019年)" Swimming Pools"(2021年)を上梓している。

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