2026年8月4日

芸術を通して時代の記憶を構築したアルゼンチンを代表する写真家サラ・ファシオ

Enfoque de la vida,
Aproximación a la vida, 1963
Sara Facio

サラ・ファシオは1932年年4月18日、アルゼンチンのサン・イシドロで生まれた。1953年に国立美術学校を卒業した。その後、フランス政府から奨学金を受けパリに住み始めた。この旅には、友人であり写真家仲間でもあるアリシア・ダミコも同行した。1957年から1960年にかけて、アルゼンチンとヨーロッパで、プロの写真家向けワークショップに参加したり、ハインリッヒのスタジオでアシスタントを務めたり、アメリカでカラー写真のコースを受講したりして、研鑽を積んだ。ファシオはレズビアンだった。彼女のパートナーはマリア・エレナ・ウォルシュで、1978年から2011年に亡くなるまで交際した。ファシオはアンネマリー・ハインリッヒのアシスタントとして働き始め、1957年に自身の写真を撮り始めた。1960年、ファシオとアリシア・ダミコは一緒に写真スタジオを開設した。ファシオは1973年にマリア・クリスティーナ・オリベとラ・アソテアを共同設立した。ラ・アソテアはラテンアメリカで初めて写真集を出版した出版社だった。1978年にメキシコシティで開催された "Latin American Colloquiums of Photography"(ラテンアメリカ写真コロキウム)に続いて、仲間のアーティストたちと協力して "Consejo Argentino de Fotografía"(アルゼンチン写真評議会)を共同創設した。1985年、ファシオはサン・マルティン市立劇場にフォトギャラリーを設立し、そこはアルゼンチンで最も著名な写真展示スペースの1つとなった。彼女は1998年までギャラリーのディレクターを務めた。

Sin título
Sin título, de la serie Buenos Aires Buenos Aires, 1965

2000年に『パヒナ12』(12頁)紙のマリア・モレノによる問に対して「私が写真を通して伝えたいことは、私が死んだ日に『牛が死んだ』ではなく『それを見た人が死んだ』と言われるようにすることです。そして、私が見たものは私の写真の中にあります。まるで『これが私の街、私の人々、私が尊敬する人々、私が愛する人々だ』と言っているかのようだ。 それが私の信条です」と答えている。 彼女の最も注目すべきフォトジャーナリズム作品の1つは、 1970年代のアルゼンチンにおけるフアン・ペロン元大統領提唱の「ペロン主義」の報道である。

Festejos en el Obelisco
Festejos en el Obelisco, Plaza de Mayo, 1972

彼女はブエノスアイレスの五月広場で行進する人々や抗議者を撮影したことで知られており、これはほとんどのフォトジャーナリストがカサ・ロサダの空撮に焦点を当てていたのとは異なっていた。彼女はキャリアを通じてホルヘ・ルイス・ボルヘス、フリオ・コルタサル、アストル・ピアソラ、パブロ・ネルーダ、ガブリエル・ガルシア・マルケス、マリオ・バルガス・リョサを撮影したことでも知られている。 1996年、ファシオは作家マリア・エレナ・ウォルシュの詩集 "Manuelita"(マヌエリタ)に挿絵写真を提供した。

peronistas
Comentario sobre Los muchachos peronistas, 1974

1972年から1974年にかけて撮影され、フアン・ドミンゴ・ペロンが国に与えた影響に焦点を当てた彼女の作品の大規模な展覧会が、 2018年にブエノスアイレス・ラテンアメリカ美術館(MALBA)で開催された。彼女は1992年にアルゼンチンからプラチナ・コネックス賞を授与された。彼女の作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションに収蔵されている。ファシオは、国立美術館の写真遺産を構成する写真の25%を自身の個人アーカイブから寄贈した。

Asume Cámpora
Asume Cámpora, Plaza de Mayo, 1975

1968年に執筆を始めて以来「写真を読む」(2002年)や「フレームと焦点」(2003年)などの写真に関する理論的な論文を執筆した。また2012年と2016年にはアンソロジーも出版している。アルゼンチンの郵便公社は彼女の写真を切手に使用しており、最近ではホルヘ・ルイス・ボルヘスの生誕100周年記念に彼女が撮影した写真が切手として採用された。1982年、彼女とダミコは、文化分野で活躍する傑出した人物に贈られるコネックス財団のコネックス賞を受賞した。サラ・ファシオは2024年6月18日にブエノスアイレスで死去、92歳だった。

Museum of Modern Art  Sara Facio (Argentine, 1932–2024) | Works | Publication | Museum of Modern Art, NYC

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