2024年3月3日

アーロ・ガスリーのカウボーイハット

Arlo Guthrie
Reprise Records MS-2183

カウボーイハットが欲しくなり、通販サイトを通じてエクアドルのビガリ社製 MARTIN を手に入れた。常々カウボーイハットは胴長短足の日本人に似合わないと思っていたが、ころりと宗旨替えである。カントリーやブルーグラス音楽のミュージッシャンを大別すると、カウボーイハットは保守派、アメリカの共和党というイメージを持っている。つまりリベラルは被らないという思い込みである。しかしウディ・ガスリーの息子アーロが頭にしている写真を見てその気になった次第である。彼はかつて "Last of the Brooklyn Cowboys"(最後のブルックリン・カウボーイ)というアルバムをリリースしている。クラレンス・ホワイト、ライ・クーダー、ケヴィン・コスナーなどの演奏巧者を迎えて録音された傑作である。ブルックリン・カウボーイといえばランブリン・ジャック・エリオットを思い出す。ニューヨーク生まれで、ユダヤ系アメリカ人の家庭で育ちながら、いつもカウボーイに憧れていた。ティーン・エイジャーの時に家出し、子ども時代の夢を実現するべくロデオの世界に飛び込んだ。 しかし西部での生活は想像していたほど楽ではなく、彼は次第に都会への郷愁を感じ始めた。アーロの曲は、都会と田舎、伝統と革新、自由と責任といった対立するテーマを扱っている。主人公は、これらの対立する価値観の間で葛藤しながら、自分自身の居場所を探していくのである。

Warner Bros 2R-2214

エリオットは、ギターを習い覚え、ウッディ・ガスリーと知り合い、彼の教え子のようにして共に生活した。ご存知ウディ・ガスリーはアメリカのプロテスト・フォークソング先駆者で、アーロもそれを受け継いでいる。アーロのカウボーハットは少なからずエリオットの影響を受けたのではと私は想像している。そのアーロが父ウディと親交が深かったピート・シーガーと2013年11月30日、カーネギーホールでコンサートを開いた。ピートは1919年生まれで、当時94歳、アーロは1947年生まれの66歳、合わせて160歳だった。飛んで行きたいところだったが、残念ながら渡航費用がなかった。二人は何度かジョイントコンサートを開いている。現在はCD化されている「Together in Concert」のLPレコードは私の宝物である。シカゴのオペラハウス、ニューヨークのカーネギーホール、ボストンのミュージックホール、モントリオールのプレイス・デ・アーツでライブ録音されたもので、1975年にリリースされた。その後も二人はコンサートを続け、1994年にCDアルバム「More Together Again (In Concert)」をリリースした。手元にカーネギーホールで2013年11月30日に開催された二人のコンサートのポスターの写真がある。ピート・シーガーは 2014年1月27日に他界したが、これが二人のコラボの最後になった。下記の動画共有サイト YoTube で全曲を視聴できる。

YouTube  Arlo Guthrie & Pete Seeger with the Guthrie Family at Carnegie Hall, NYC, Nov. 30, 2013

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