2023年6月1日

アメリカ人はなぜ先住民をインディアンと呼ぶのか

Antoinette Peters
Coeur d'Alene and Nez Perce Antoinette Peters

子どものころ、コロンブスの話を聞いたことがあると思う。アメリカ大陸を「発見」したと主張する探検家である。彼は自分が降り立った「新しい」世界がインドであると確信し、その人々を「インディオ」と呼び、それが後に「インディアン」となった。その後、コロンブスの推理に誤りがあったこと、すなわちすでに人が住んでいる場所を「発見」することはできないだけでなく、彼が旅先で犯した多くの残虐行為も広く知られることになった。アメリカ合衆国政府は「アメリカン・インディアン」という言葉を公式に使い続けているが多くの人は「インディアン」という言葉を、人種差別、暴力、盗難、民族の滅亡を痛感させられるものだと感じている。現在は多くの州や地域がコロンブス・デーの代わりに先住民の日を公式に認め、祝っているのには理由がある。

NativeAmericanClipart

1970年代に「ネイティブ・アメリカン」が政治的に正しい用語として使われるようになった。この用語は、何百もの個々の部族が、現在アメリカ合衆国として知られている土地に、誰よりも早く居住していたことを強調している。言い換えれば、彼らはこの土地のネイティブなのである。しかしアメリカでは現代でも一般的に「アメリカン・インディアン」と「ネイティブ・アメリカン」は、どちらも使っても問題はないと解釈されている。しかし私自身はしばしば当ブログや SNS にアメリカ先住民の写真を投稿しているが、インディアンという用語の使用を避けている。理由は簡単、彼らはインド人ではないからだ。ちなみにスミソニアン・フォークウェイズ社は、タイトルにインディアンという言葉を含んだレコードをかなりリリースしている。

Folkways Records – FD 6510

相手が「ネイティブ・アメリカン」を嫌って「アメリカン・インディアン」を好むかもしれないし、その逆かもしれないが、それは訊いてみなければわからない。人はしばしば、ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)のニュアンスを分析することに夢中になり、本当に重要なこと、つまり誰かが自分自身をどう表現するかということを見落としてしまうことがある。ではアラスカ先住民についてはどうだろうか。アラスカに住む229の部族や民族に属する先住民は、アラスカの総人口の約15%を占めている。「ネイティブ・アラスカン」や「アラスカン・ネイティブ」という言葉も見かけるが、これらの言葉は、アラスカの先住民が雨っリカ合衆国のアラスカ州に「帰属」していることを微妙に暗示している。アラスカは、先住民族が独自の文化や歴史、生活様式を持っている一方で、アメリカの大半の地域からはかなり離れた場所に位置していることに留意する必要がある。

NativeAmericanClipart

土地の境界線は先住民ではなく白人入植者によって設定されたものであり、多くのアラスカ先住民は自分たちをアメリカ人やネイティヴ・アメリカンと思っていないかもしれない。アラスカ先住民連盟の説明によると、アラスカ先住民の部族は、アラスカの厳しい気候の中で生き残るために多くの核となる価値観を共有しているが、それでも独自の多様な言語、伝統、文化を持っているという。カナダは先住民に対しネイティブではなく、ファーストネーションと呼んでいる。 なお下記リンク先はアメリカ合衆国の植民地時代の街並みが復元されている、ヴァージニア州のコロニアル・ウィリアムズバーグ財団野外博物館のアーティクル「アメリカン・インディアンという用語を使う理由」である。これには同財団がかつてアメリカ先住民と激しく対立したという背景がある。

AmericaPatriot  Why we use the term American Indian | Living-History Museum Colonial Williamsburg

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