2013年5月30日

翼が怪しくなって墜落寸前の橋下イカロス


イカロスの墜落 ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)ベルギー王立美術館蔵

日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が孤軍奮闘、いや孤立無援、まさに四面楚歌の状態のようだ。例の慰安婦問題に関する一連の発言は、植民地支配と侵略を謝罪した1995年の村山首相談話を巡って、安倍首相が4月に「侵略の定義は定まっていない」と述べたことがきっかけだった。これに同調「慰安婦制度が必要なのは誰でも分かる」と発言、さらに米海兵隊司令官に「もっと風俗業を活用してほしい」と進言したと自慢げに語り、批判の嵐を浴びることになってしまった。米国務省のサキ報道官から「異常な発言で不快だ」と強く非難され、事態の収拾のため、日本外国特派員協会で釈明会見した。神妙な面持ちで「風俗」について一連の発言を撤回、謝罪したが「鎮火」 は成功しなかった。

次の参院選で日本維新の会が大敗した場合、共同代表を降りるが、大阪市長は辞めないという。いずれにしても昨年の今頃は、まさに飛ぶ鳥の勢いだったが、その翼が怪しくなってなってきた。上掲の絵はギリシャ神話に登場する、イカロスの墜落をルーベンスが描いたものである。名工ダイダロスと息子イカロスはミノス王の怒りを買い、塔に幽閉される。二人は蝋で固めた人工の翼をつくり逃亡に成功するが、イカロスは父の警告を忘れて高く飛びすぎ、太陽の熱で蝋が溶けて翼がこわれ、墜落死してしまう。平家物語にも「驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし」とある。思い上がって勝手な振る舞いをすれば、必ず滅びる時がくる。橋下徹も同じ運命を辿るような気がする。

追伸: 橋下徹大阪市長に対し、大阪市議会の野党会派が提出した問責決議案が30日夜の本会議で否決された。朝日新聞電子版によると「決議案が可決されれば市長を辞職して出直し市長選に打って出る意向を固めたため、市長選を回避したい公明が反対に転じた」という。これは結果論だが、問責決議案が否決されて良かったと私は思う。というのは出直し市長選になれば橋下徹が圧勝することが目に見えているからだ。そうなれば意気消沈している維新の会を参院選で勢いづけてしまう可能性があるからだ。(5月30日23:00)

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