2017年1月7日

エクタクロームの復活に期待する


イーストマンコダック社が、米国ネバダ州ラスベガスで開催中の国際家電見本市「CES® 2017」で、カラーリバーサルフィルム「エクタクローム」を復活させる計画を発表した。スチル用と映画用の両方のフォーマットで、再設計して製造する予定だという。最初の製品の出荷は2017年第4四半期になると予想されているそうである。私は1960年代、大学で写真工学を学んだが、当時は「ロチェスター(コダックの工場があるニューヨーク州の都市)を追い越せ」 というのが日本の写真フィルム業界のスローガンであり、悲願でもあった。まさにフィルムの王者、リバーサルフィルムでは、エクタクロームとコダクロームの名が世界を君臨していた。ところが1990年、富士フイルムが「フジクロームベルビア」の製造販売を開始した。私も鮮やかに覚えているが、コダックを凌駕する製品で、これを機会に同社の業績は下降線を辿ることになる。2012年1月にコダックが、日本の会社更生法に当たる法律の適用を申請したというニュースが伝えられた。凋落の原因はデジタル写真への対応が遅れたことだったが、富士フイルムの追い打ちも見逃せない。尤も富士フイルムも、写真機材がデジタル化し、フィルムは次々と製造中止に追い込まれている。2013年秋に英国コダックの年金運営ファンドが新しい会社「コダックアラリス」を設立、その輝かしいブランドが残った。新しいエクタクロームはロチェスターの工場で製造され、販売されるそうである。音楽界ではビニール盤(アナログレコード)の復活が話題になっているが、これを機会にフィルムの良さも見直されることを期待したい。

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