2016年11月23日

TPP協定履行は民主主義の放棄

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朝日新聞11月22日付け電子版「TPP発効不可能に」によると、トランプ次期米大統領は21日、就任後100日間で進める政策の改訂版を公表し、就任初日にTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱を表明する意向を改めて示したという。トランプ氏はTPPについて「我々の国にとって災難になりうる」としたうえで、「その代わり我々は雇用や産業を米国国内に取り戻すため、公平な二国間の貿易協定を交渉していく」との考えを示したそうだ。つまりオバマ政権が進めてきた自由貿易政策が米国の雇用を奪うという主張である。一方、米国抜きの発効を目指す動きもあるという。しかし安倍首相はアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで記者会見し、TPPは「米国抜きでは意味がない。根本的な利益のバランスが崩れてしまう」と訴えたという。読売新聞は11月23日付け電子版で「TPP離脱は誤った判断だ」と安倍政権に対し醜い援護論評を掲げている。
ジェーン・ケルシー教授
懸念するのは、日本の主権が制約されるということです。これはTPPのルールそのものというよりも、外国の政府や企業が、みなさんの将来や法律について、モノが言えるようになるということです。毎年、アメリカの通商代表部(USTR)が、各国に対して通商に関する要求事項を発表しています。私は日本について書かれた部分について読んでみました。これは、この先数年の間に、米通商代表部が特に目を光らせて監視していく項目です。
以上の引用は「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」が招いた、ニュージーランドのオークランド大学教授ジェーン・ケルシー氏が、去る10月31日に行った講演の一部である。TPPは一般には「関税をなくすこと」と単純に認識されているが、例えば日本に対しては食品安全法、健康保険、共済などをターゲットにされているのである。そして何よりも怖いのは、それが私たちが知ることができない、秘密交渉であることである。TPP協定を履行することの最大の問題点は、各国の経済的利害関係ではなく、自分たちの将来を他国の人や他国の企業や政府に決められるということである。法案を強行に通そうとすること、それは市民の手で決められる力を奪われること、民主主義の放棄に他ならない。TPP協定を反対する理由は、トランプ氏の離脱宣言のそれとは別の次元であることを認識して欲しい。

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